最新記事

ノルウェー

「ヒトラー・ベア」「金正日・ラビット」からお友達へ、怖~いお話し

独裁者に扮したぬいぐるみが登場する喘息予防キャンペーンが議論の的に

2016年1月29日(金)18時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

危険を告知 ヒトラーや故金正日総書記に扮したぬいぐるみが、喘息への予防対策を訴えた LHL ASTHMA AND ALLERGY

 ノルウェーの健康団体「LHL喘息とアレルギー(LHL)」が今月公開した、子どもの喘息予防を呼び掛けるキャンペーンシリーズが、思わぬ波紋を呼んでいる。

 このキャンペーン「テディベアは危ないかも」の画像や動画に登場するのは、ナチスドイツのヒトラーに扮したテディベア「ヒトラー・ベア」や、リビアのカダフィ大佐に扮した「カダフィ・ベア」、それに北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記に扮したウサギ「ジョンイル・ラビット」といった、独裁者の格好をしたぬいぐるみたち。

 LHLはこのキャンペーンで、子どもたちの喘息、アレルギーのリスクを軽減するために、保護者に対して、一年に最低4回はぬいぐるみを洗濯することや、寝具を高温で殺菌・消毒して子どもの寝室を清潔に保つことなどを提唱している。

hitlerbear02.jpg

リビアのカダフィ大佐にそっくりなベアもキャンペーンに登場 LHL ASTHMA AND ALLERGY


 LHLのトロン・ソルベン書記長は、「ぬいぐるみを洗濯する単純な作業で、子どもが喘息にかかるリスクを大幅に減少させることができる」と、話している。

 しかし、キャンペーンに思わぬところから物言いが入った。オスロのユダヤ系コミュニティの代表が地元紙の取材に応えて、「ヒトラーがこのように使われると、彼の真の危険性が理解されないのではないか」と懸念を示したのだ。

 ソルベン書記長は、キャンペーンに独裁者の格好をしたぬいぐるみを使ったのは、保護者に問題の重要性への認識を高めてもらうためだ、と説明している。

 ノルウェーで喘息やアレルギーにかかる子どもの数は、70年代から現在までに4倍に増加し、特に10歳以下の児童では20%以上に症状が見られているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中