最新記事

総統選挙

台湾、初の女性総統が誕生するか?――そして中国は?

2016年1月15日(金)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中国が望まない候補 総統選の先頭を走る民進党の蔡英文(写真右端)は若者に人気がある Damir Sagolj-REUTERS

 1月16日に台湾で4年に一度の総統選挙が行われる。民進党の蔡英文氏の支持率が依然として高い。果たして台湾に初の女性総統が誕生するのか? 民意調査と台湾の若者たちの声、そして中国大陸の動向を考察する。

圧倒的支持率を誇る民進党の蔡英文

 1月16日、台湾の総統選と立法院(国会)議員の選挙が行われる。これまで多くの民意調査で民進党の蔡英文氏の優勢が伝えられてきた。大きな原因の一つは、国民党・馬英九政権による中国大陸寄りの施政に対する反発で、若者を中心として広がった「ひまわり運動」が象徴的だ。ひまわり運動とは、台中間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」に反対して、2014年3月に台湾の若者たち立法院を選挙した運動を指す。メディアまでが中国に買収され、精神活動の制限を受けることに若者たちは激しく抗議した。そのため2014年末の統一地方選挙では、国民党は惨敗している。

 台湾では、選挙日の10日前になると総統選候補者の支持率などに関する民意調査が禁止されたために、ここでは最新の情報として1月4日に公表された台湾の「蘋果日報」(リンゴ日報、デイリー・アップル)と、1月5日の台湾の「自由時報」の情報に基づいて分析する。

 デイリー・アップルの調査は、世新大学民意調査センターに委託して、1月1日~2日に行われている。調査結果の数値に関しては、

蔡英文(民進党):42.1%
朱立倫(国民党):21.4%
宋楚瑜(親民党):13.5%

となっている。

 1月5日に公表された「自由時報」によれば、

蔡英文(民進党):47.9%
朱立倫(国民党):14.8%
宋楚瑜(親民党):10.3%

と、蔡英文氏と朱立倫氏の差が、さらに大きくなっていることがわかる。 

 これは調査したメディアが異なるためかもしれない。自由時報によれば、調査自身は1月2日~4日まで行い、5日に集計結果を公表したとのこと。いずれにしても蔡英文氏と朱立倫氏の間には、20%~30%の差がついていることはたしかだ。圧倒的な支持率で、蔡英文氏が上回っている。

 国民党の支持率を上げようと、馬英九総統は昨年11月7日、シンガポールで習近平国家主席と1949年の国共分断後、初めての中台首脳会談を行なったが、その効果は総統選挙には反映されていない。

若者たちの支持率が高い蔡英文氏

 筆者が台湾にいる教え子たちを通して若者を直接取材したところによれば、若者の90%くらいは民進党の蔡英文氏を支持しているとのことだ。

「自由日報」にも類似のことが書いてあり、「若者たちの朱立倫氏への支持率は、わずか4.6%」だとのこと。ただし、蔡英文氏への支持率は、データによれば54.62%で、筆者が直接取材した若者たちよりは低い。「若者の90%が支持している」という回答は、それくらいの感覚だ、という情感的なものだと思われる。
  
 理由は「ひまわり運動」に見られるように、北京政府寄りの国民党には見切りをつけ、中国大陸の思想統一に巻き込まれたくないという若者たちの思いがあるからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

景気一致指数1月は2.5ポイント上昇、生産押し上げ

ビジネス

2月企業倒産851件、13年ぶり高水準 物価高や人

ビジネス

中東紛争、世界的なインフレ加速招く恐れ IMF専務

ビジネス

アジアの航空株が急落、原油価格高騰とイラン戦争激化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 2
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 3
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリアルな街で考える60代後半の生き方
  • 4
    「溶けた金属のよう...」 ヨセミテ国立公園で「激レ…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 7
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    最後のプリンスが「復活」する日
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 5
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中