最新記事

ペット

韓国が輸出する超小型犬の悲劇

ティーカップサイズでセレブに人気の超小型犬は韓国の「工場」で大量生産され、ストレスと感染症の危険を背負いアメリカに送られる

2014年8月6日(水)12時01分
ジェフリー・ケイン

アクセサリー代わり パリス・ヒルトンが極小サイズのチワワを抱えて外出するのはおなじみの光景 Jean Baptiste Lacroix-WireImage/Getty Images

 ティンカーベルと名付けられたその犬のサイズに驚いたのではない。ニューヨークの獣医師ロバート・ジャオは、以前にも「ティーカップ犬」の噂を聞いたことはあった。ティーカップにも収まるとのうたい文句で売られる、極小サイズに育てられた犬のことだ。

 むしろ彼がショックを受けたのは、あまりに幼く弱り果て、病気を患ったこの子犬が、はるばるアジアからアメリカまで運ばれてきたことだ。

 マルチーズのティンカーベルは、ジャオが診察したその時、生後たったの3カ月だった。韓国からの長い旅を経てテキサス州の小売業者の元に運ばれ、2日前にニューヨーク近郊の空港に到着したばかり。下痢や腸内寄生虫、眼感染症やケンネルコフと呼ばれる呼吸器の感染症などの慢性病に侵され、何とか生き延びている状態だった。

 対面したときには排泄物にまみれて咳き込んでおり、何かがおかしいのは明らかだった、と飼い主のジリアン・チビターノは言う。ウイルス感染の症状が表れるまでの潜伏期間を考慮すれば、この病状はおそらく飼い主の責任ではないと、ジャオは言う。チビターノは、破格の4000ドルを払ってテキサスのオンライン業者から病んだ子犬を買ったことになる。

 さらに衝撃的なのは、ティンカーベルの悲劇が決して特別なケースではないということだ。

 かわいらしいが論争の的のティーカップ犬は、セレブたちのニッチ市場で大人気。成犬でも2キロ以下にとどまるよう育てられるこうした犬すべてが、過去にトラブルを起こしてきたわけではないが、問題は多数報告されている。

 多くはアメリカ国内で育てられたものだが、国外から輸入される場合もある。問題視されているのは、韓国産の犬だ。ろくに規制が存在しない環境で子犬を育て、弱り果てた子犬を欧米のリッチな客に供給する──そんな韓国のティーカップ犬産業が急成長している。彼らは韓国やアメリカの動物保護団体の抗議の的。時にはアメリカの動物保護法にも違反しているようだ。

MAGAZINE

特集:顔認証の最前線

2019-9・17号(9/10発売)

世界をさらに便利にする夢の技術か、独裁者のツールか── 新テクノロジー「顔認証」が秘めたリスクとメリットとは

人気ランキング

  • 1

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(2019年9月)

  • 2

    9.11救助犬の英雄たちを忘れない

  • 3

    韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本との関わりは?

  • 4

    アメリカ人労働者を搾取する中国人経営者

  • 5

    外国人への憎悪の炎が、南アフリカを焼き尽くす

  • 6

    「Be Careful to Passage Trains」日本の駅で見つけ…

  • 7

    2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来…

  • 8

    【韓国政治データ】次期大統領としての好感度ランキ…

  • 9

    ヒマラヤ山脈の湖で見つかった何百体もの人骨、謎さ…

  • 10

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 1

    タブーを超えて調査......英国での「極端な近親交配」の実態が明らかに

  • 2

    消費税ポイント還元の追い風の中、沈没へ向かうキャッシュレス「護送船団」

  • 3

    「日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう」への反響を受け、もう一つカラクリを解き明かす

  • 4

    韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本…

  • 5

    思い出として死者のタトゥーを残しませんか

  • 6

    英国でビーガンが急増、しかし関係者からも衝撃的な…

  • 7

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(201…

  • 8

    9.11救助犬の英雄たちを忘れない

  • 9

    性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

  • 10

    香港長官「条例撤回」は事実上のクーデター

  • 1

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいついで感染

  • 2

    寄生虫に乗っ取られた「ゾンビ・カタツムリ」がSNSで話題に

  • 3

    日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう

  • 4

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 5

    ヒマラヤ山脈の湖で見つかった何百体もの人骨、謎さ…

  • 6

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 7

    「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる…

  • 8

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 9

    韓国で脱北者母子が餓死、文在寅政権に厳しい批判が

  • 10

    「この国は嘘つきの天国」韓国ベストセラー本の刺激…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月