最新記事

北朝鮮

周辺住民まで見張る北朝鮮収容所

収容所を拡張して周辺住民を包囲し監視する異常ぶり

2013年3月22日(金)16時25分
ザカリー・ケック

出口なし 国境警備に当たる北朝鮮軍の兵士たち Jacky Chen-Reuters

 北朝鮮の政治犯収容所として悪名高い第14号収容所。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、この収容所の敷地が拡張され、外周が大幅に拡張された。それと同時に、なぜか周辺地域の一般住民も包囲される格好になったという。

 これは06年〜今年2月の調査で得られた衛星写真に基づく分析結果だ。平壌の北北東70キロのチョマボン谷と周辺住民の家々を囲むようにして、収容所の外周20キロにわたって杭が立てられた。新しい検問所や監視塔らしきものも複数建設されている。

 監視塔は、収容所内ではなく、収容所の外に暮らす人々を監視するためのものだという。検問所の目的も、収容所との境界警備ではなく、住民が逃げられないよう見張るためのようだ。現地の炭鉱で生産が漸増してきたことから、当局が住民の囲い込みに出たとみられる。

 アムネスティが調査を始めたのは、第14号収容所の隣に新しい収容所が建設されるとの臆測が流れたためだった。14号には約10万人が収監され、多くの人が3代にわたって終身刑に服する「出口なし」収容所と呼ばれている。周辺住民の出口もなくなったかもしれない。

[2013年3月19日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国の対外投資、香港のチャンスに 金融管理局総裁が

ビジネス

日経平均は続伸、3万8000円維持 米関税への過度

ビジネス

中国、成長促進へ政策余地「非常に大きい」=人民銀顧

ビジネス

午後3時のドルは150円半ば、株高で円じり安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中