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エクアドルがアサンジ亡命を認めた理由

大統領を批判すれば報道機関の閉鎖も厭わないこの国に、報道の自由を奉じるアサンジが亡命する皮肉

2012年9月19日(水)16時22分
トリー・ボッシュ

逃亡者 「お騒がせ男」アサンジの身柄はどこへ? Andrew Winning-Reuters

 政治亡命を申請したウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの亡命を認めると先週発表したエクアドル政府。ただアサンジはスウェーデンで女性2人に性的暴行を加えた容疑で10年に逮捕され(現在は保釈中)、スウェーデンへの移送が決まっており、英政府は出国を認めない構えだ。

 エクアドルの狙いは国際的なイメージアップと、アメリカ(ウィキリークスの主要な標的)、イギリス、スウェーデンに対する嫌がらせとみられている。いずれも5月の国連人権理事会でエクアドルの「報道の自由」に懸念を表明した国々だ。エクアドルでは大統領に批判的なジャーナリストが「名誉毀損」で訴えられ、今年に入って17の報道機関が閉鎖されている。

 ネットの普及に伴って検討中の包括的な新通信法についても、ユーザーのプライバシーを侵害する可能性がある。ネットの自由を擁護する国際NGOによれば、むやみに監視に利用され、表現の規制などの人権侵害につながる危険があるという。

 そんな国が「報道の自由」を強硬に主張するアサンジをかくまうとは、皮肉な話だ。

© 2012, Slate

[2012年8月29日号掲載]

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