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シリア

虐殺を否定するアサドの鉄面皮

今も民主化運動の弾圧を続け内戦状態に陥りつつあるシリアの狂った指導者

2012年1月18日(水)15時15分
ババク・デガンピシェ(ベイルート支局長)

犠牲は300人以上? デモに参加して民主化を求める子供たち Reuters

 反政府運動が続くシリアが、本格的な内戦状態に陥りつつある。政府に改革を求める一般市民が民主化要求デモを始めてから9カ月。政府はデモ隊や市民に対して残酷な弾圧を容赦なく続けている。

 こうした暴力の一番の犠牲になっているのは子供たちかもしれない。国連によれば、政府の弾圧でこれまでに300人以上の子供たちが命を落としているという。

 政府側が弾圧すればするほど、デモ隊は反発を強める。ここ数週間は、軍からの離反兵士などで構成された「自由シリア軍」を名乗る武装グループが、拠点としている隣国トルコからも攻撃を加えている。戦いが長引き、シリア情勢が泥沼化することを暗示する危険な展開だ。

 こうしたなか、米ABCテレビで先週、同国のアサド大統領のインタビューが放送された。アサドは治安部隊に一般市民の虐殺を命じたことはないと主張。「自国民を殺す政府など、世界のどこにもない。あるとしたら、その政府を率いている人間は狂っている」と語った。

 そう語る彼こそが、狂った指導者に見えたのだが。

[2011年12月21日号掲載]

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