最新記事

アメリカ政治

ウォール街占拠デモが本気で狙う政治力

勢いを増すウォール街占拠運動は、来年の米大統領選をも左右する一大勢力に成長するか

2011年10月17日(月)17時02分
トマス・ミュシャ

政治を変える 保守派の草の根運動「ティーパーティー」のように、ウォール街占拠デモが選挙に大きな影響力を及ぼす勢力になる可能性はある(ニューヨーク、10月14日) Jessica Rinaldi-Reuters

 ニューヨークの金融街から、国内外へと飛び火したウォール街占拠運動が、新たな広がりを見せつつある。来年行われる米大統領選の行方を左右するような勢力になるべく、本腰を入れ始めたのだ。

 デモの運営者たちは、デモの政治的な目標についてこれまで以上に真剣に考え始めている。経済ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」によれば、彼らは来年7月4日(アメリカの独立記念日)に全国の代表者が一堂に会する「全国総会」を計画しているらしい。先週末には、この計画をどう進めるか話し合いを始めたという。


 彼らは計画についてこう語っている。

「代表者を選挙で選び、来年7月4日に全国総会を開く必要がある。暴力は一切なし。暴力を用いて政権転覆を目指したりはしない。

 全国435カ所で直接選挙を行って代表者を選び、全国総会を開く。選ばれた代表者は、政治家たちに対して行動を起こすよう要求する必要がある。

 1年以内に政治家が行動を起こさなければ、我々は彼ら全員の辞任と、選挙の実施を要求する。そうすることで、権力と影響力をカネで「買う」連中や企業から民主主義を取り戻すのだ」


 既に民主党の有力政治家のなかには、ウォール街占拠運動が政治的影響力を持つ可能性に目を付け、支持を表明する者もいるようだ。

 アル・ゴア元副大統領も先週、自身のブログでウォール街占拠運動への支持を明らかにした。ここ数週間、「称賛の思いと興味を抱きつつ」デモのニュースを追いかけていると書いたのだ。

「経済から気候変動に至るまで、我々の指導者たちは問題解決につながる道を追求してこなかった。それどころか、ほとんど成果が生まれない政策を提案してきた」と、ゴアは記している。

「民主主義が危機的状態にあるなか、本物の草の根の運動が我々のシステムの欠陥を指摘するのなら、それは正しい方向への第一歩だ。ウォール街占拠運動を応援する人々の中に私の名前も加えてほしい」

 ゴアは、8日付のニューヨーク・タイムズ紙の社説に同感だとも書いている。社説はこう指摘していた―「ほとんどが若者で構成されているデモ隊は、ある意味で将来を閉ざされた世代の声を代弁している」

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

タイ自動車生産、3月は前年比-23% ピックアップ

ビジネス

米500社、第1四半期増益率見通し上向く 好決算相

ビジネス

トヨタ、タイでEV試験運用 ピックアップトラック乗

ビジネス

独失業者数、今年は過去10年で最多に 景気低迷で=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中