最新記事

新興国

ブラジル大統領選、民営化論争の行方

ヴァーレやペトロブラスなど巨大企業の競争力が繁栄の原動力、という点では誰も異論がないのだが

2010年10月29日(金)16時45分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ)

 ブラジル大統領選の決選投票が10月31日に迫るなか、対立候補2人が国営企業の民営化をめぐる妙な争いを繰り広げている。与党・労働党のディルマ・ルセフ前官房長官も、野党・社会民主党のジョゼ・セラ前サンパウロ州知事も、民営化には反対姿勢。だがルセフはセラが石油会社ペトロブラスなどの民営化に賛成していると非難し、一方のセラは国家の財産に値する企業を手放したりしないと反論するなど、不毛な小競り合いを続けている。

 しかし逆に、ルラ現大統領の大きな功績は税金を浪費してばかりの国営企業を整理したこと。結果、ブラジルの銀行は世界屈指の競争力を誇るようになり、国営企業は世界が欲しがるような効率的な組織に変わった。

 97年に民営化された鉄鉱石大手ヴァーレがいい例だ。同社は世界各国で企業の吸収合併を行い、事業を拡大している。肥大化して「ペトロザウルス」と揶揄された国営石油会社ペトロブラスも、競争力を高めるため事業の一部を売却した。

 ルセフもセラも今は批判しているかもしれない。だが、どちらが次期大統領に就任しても、民営化はブラジル繁栄の原動力であり続けるはずだ。

[2010年11月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領「独立守った」、ロ侵攻から4年 G

ワールド

米、重要鉱物価格設定にAI活用検討 国防総省開発

ビジネス

AIが雇用市場を完全に覆すことはない=ウォラーFR

ワールド

ウクライナ、ロシアの「核取得」非難を否定 英仏関与
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 6
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 7
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中