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スーダン

繰り返すダルフールの悲劇

和平も束の間、戦闘の激化で5月の犠牲者は約600人に上ったが、世界はもうあの悲劇を忘れたようだ

2010年6月17日(木)14時47分
ラビ・ソマイヤ

 国連・アフリカ連合合同活動(UNAMID)の報告によると、スーダン西部ダルフール地方で5月に殺された犠牲者の数は約600人。07年に国連が介入して以降、最大の数字だが、なぜかあまり注目されていない。世界はダルフールへの関心を失ったのか。

 反政府組織「正義と平等運動」(JEM)は最近、政府軍の兵士35人を拘束した(6月9日に解放)。今年4月に行われた大統領選挙と総選挙を前に、政府とJEMの間では2月、和平に向けた枠組み合意が結ばれ、停戦が期待された。だが、5月にJEMが和平交渉を打ち切ってから戦闘はむしろ激化していると、英BBCは報道している。

 人道危機は深刻で、「紛争地域への支援が圧倒的に不足している」と、国連の報告は警告している。国連の推定では03年以降、ダルフール紛争による同地域での死者は30万人に上り、260万人の難民が発生している。犠牲者数が増加した程度では誰も驚かなくなってしまったのかもしれない。

[2010年6月23日号掲載]

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