最新記事

ベネズエラ

ツイッターで国家の敵を密告せよ

2010年6月14日(月)15時59分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ支局)、アレックス・マリン

 昨年、イランの改革派が政府によるデモ鎮圧の状況をツイッターで世界に発信すると、活動家はツイッターが改革と自由をもたらすツールだと称賛した。だが一転、南米ベネズエラではチャベス大統領がこれを弾圧に利用している。

 チャベスは今年1月までツイッターはテロリストの「武器」だと非難していたが、今では熱心なツイッター信者。彼のアカウントはベネズエラで最も人気が高く、フォロワーは50万人以上。フェースブックやブログも駆使する。

 ただしウェブの開放的で民主主義的な精神とは程遠い使い方だ。チャベスはツイッターやブログで、国民にお互いを監視し合うよう勧めている。

 チャベスはボリバル主義(中南米の対米従属から政治経済的自立を目指す思想)者に対して、国家の「敵」、つまり富裕層に目を光らせるためにツイッターを活用するよう命じた。「私のツイッターはあなたたちが彼らを糾弾するためにある」。チャベスはこうしたツイートによる密告に対処する人員200人を雇い、貸し渋りの銀行や為替の投機家に当局が「行動」を起こしたケースもある。

 独裁者のネット支配は止まらない。チャベスは目下、国内のサイトでアメリカのサーバーを使っているものをベネズエラのサーバーに移行させようとしている。

[2010年6月16日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者が米非難、イスラエル支援継続なら協

ビジネス

次回FOMCまで指標注視、先週の利下げ支持=米SF

ビジネス

追加利下げ急がず、インフレ高止まり=米シカゴ連銀総

ビジネス

ECBの金融政策修正に慎重姿勢、スロバキア中銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中