最新記事

共産党

中国のリーダーは文系へシフト

2009年9月14日(月)12時37分
メリンダ・リウ(北京支局長)

 中国の指導部は、技術者集団といっていい。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席や温家宝(ウエン・チアパオ)首相をはじめとする中国共産党政治局常務委員の9人のうち8人が、理工系出身だ。

 それは、人間を犠牲にしてまで問題を「建設」によって解決しようとする姿勢からもよく分かる。

 エネルギー不足を解消するための三峡ダム建設では、考古学的価値のある地区が水没に遭い、124万人もの住民が強制移住させられた。北部の干ばつ対策には「南水北調」プロジェクトをスタートさせて、長江の水を巨大な水路で運ぼうとする。おかげで周辺の地域社会は混乱に陥っている。

 しかし、こうしたアプローチが変わるかもしれない。温の後継者と目される李克強(リー・コーチアン)、米中関係で重要な役割を果たす王岐山(ワン・チーシャン)など、共産党若手の期待の星8人は理工系ではないからだ。

 彼らの学生時代の専攻は経済、歴史、ジャーナリズム、法学とさまざま。政策研究機関のブルッキングズ研究所のチェン・リー上席研究員は、この転換を「実体を伴う変化」と呼ぶ。若手は、より国民の側に立った解決法を模索する可能性があるからだ。

 水不足については、彼らは水資源の保護を推進しながら水道料金を値上げして節約に導いた。さらに、早急に求められている法的手続きの改善に着手し、受刑者に控訴、保護観察、保釈などの仕組みを教育している。中国の指導部がソフトになる日が来るかも?

[2009年9月16日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英、金融指標の規制見直し 業界負担を軽減

ワールド

韓国、ウォン安への警戒強める 企画財政相「必要なら

ワールド

米、台湾への新たな武器売却承認 ハイマースなど11

ワールド

マクロスコープ:意気込む高市氏を悩ませる「内憂外患
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中