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パキスタン

作戦を公表して敵に逃げられた?

2009年6月25日(木)15時15分
ロン・モロー(ニューデリー支局長)

 戦いで勝ちたければ、敵が油断しているときに急襲するのが上策。だがパキスタン政府は、タリバン系の武装勢力を率いるバイトゥラ・メフスードに対してそうした作戦をとるつもりはないようだ。メフスードは07年のブット元首相の暗殺と、今年6月にペシャワルのホテルで起きた爆破事件の首謀者とされる。

 パキスタン政府は不意を突くどころか作戦を公表し、敵に逃げるチャンスを与えた。5月にザルダリ大統領がインタビューで、軍は南ワジリスタンにあるメフスードの拠点を攻撃する準備をしていると語ったのだ。

 6月に入って軍はメフスードの逃走と物資供給ルートを断つために主要道路を封鎖。地上軍配備の前に空からの攻撃を行った。

 だがメフスードと側近らはヒツジなどが使う道伝いに逃走したようだ。後には自爆テロや簡易爆弾で軍に抵抗する一団が残された。軍はスワト地区の指導者マウラナ・ファズルラなど、他のタリバン系リーダーに対しても同じようなミスを犯している。

 一方、専門家は軍が作戦を完了しないまま次の戦闘にむやみに移らないよう警告している。メフスードたちが部族地域に身を隠して反撃の計画を練っているとしても不思議ではない。

[2009年7月 1日号掲載]

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