最新記事

女性首相

日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラスの天井」を破るための「条件」とは

TO BREAK THE GLASS CEILING

2024年09月04日(水)16時05分
北島 純(社会構想大学院大学教授)

小池氏は現在までに首相の座をつかむには至っていない。それは本人の意向と計算もあるかもしれないが、何よりも社会の側に女性首相を待望する機運すなわちモメンタムがなかった、あるいはタイミングがそろわなかったということだろう。

9月12日告示、27日投開票の自民党総裁選と並んで、野党第1党である立憲民主党の代表選も9月7日告示、9月23日投開票の日程で行われる。推薦人20人確保のハードルは自民党以上に高いが、西村智奈美代表代行と当選1回の吉田晴美衆議院議員が立候補の意欲を示している。


他国の事例を見るに、野党党首になってからの政権奪取、即首相就任というパターンは典型でもある。野党が女性党首を擁立することは、日本に女性首相を誕生させる戦略的観点からはことさらに重要と言える。

問題は日本社会、つまりわれわれの側に、女性首相を待望するモメンタムがあるかどうかだ。検事総長も連合会長も女性が就任し、地ならしは済みつつあるようにも思える。女性首相候補を育てるのは有権者だ。

米連邦最高裁判事を27年間にわたって務め、20年9月に87歳で死去したルース・ベーダー・ギンズバーグ(RBG)は生涯を通じて「ガラスの天井」と戦い続けたが、同時に「自国を成功させたければ、女性に投資するべきだ」と言っている。

モメンタムは造ることができる。女性閣僚を首相臨時代理第1順位指定の副首相に起用することも一案だ。

女性首相の登場が日本にどのような影響を与えるかは未知数なところがあるが、少なく見積もっても、政治的決定プロセスの頂点に多様性が組み込まれることがもたらす政治・経済・社会的効果は計り知れない。

その端緒として、今回の自民党総裁選・立民代表選で正面から「ガラスの天井」をめぐる論戦が戦わされることを期待したい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

バークシャー、第2四半期は減益 クラフト株で37.

ビジネス

クグラーFRB理事が退任、8日付 トランプ氏歓迎

ビジネス

アングル:米企業のCEO交代加速、業績不振や問題行

ビジネス

アングル:消費財企業、米関税で価格戦略のジレンマ
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    メーガン妃はイギリスで、キャサリン妃との関係修復…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ関税15%の衝撃

特集:トランプ関税15%の衝撃

2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か