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私たちは全員「キャリー・ブラッドショー」だった...人気の秘密は『SATC』でいちばん「普通」だったこと

We Are All Like Carrie

2023年07月13日(木)14時50分
ルーク・ウィンキー

あなたも私もキャリー

こうした現象は『SATC』に限らず、性格診断に使われるような小説やドラマにはあらかた当てはまる。

例えば小説の『若草物語』。あの四姉妹を使った性格診断テストなら、誰だって次女のジョーか四女エイミーと判定されたいだろう。姉妹の中で、内面の動きが全編を通じてきちんと描かれるのはこの2人だけなのだ。

僕は映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を見た後で恋人に「君はメグに似てるね」と言ってしまい、険悪な雰囲気になった(ジョーと長女メグの名前をうっかり取り違えたのだ)。人様をメグ呼ばわりするのは、「君は人間じゃない」と言うに等しい。

人はみなキャリーなのだという確信を、HBOも深めたらしい。

『新章』はシーズン2が始まったばかりだが、シーズン1では50代に入った登場人物たちがジェンダーやポッドキャストをめぐる今どきの常識についていけず、あたふたした。

ミランダは中年の危機に直面し、シャーロットは黒人の同僚との接し方で恥をかき、サマンサは登場しない。

そんななかキャリーは突然夫を亡くし、喪失の悲しみに向き合った。『SATC』史上、これほど普遍的で心の琴線に触れるストーリーラインも珍しい。

この世に大切な人を失う悲しみと無縁の人はいない。誰より生身の人間に近いキャリーに、このストーリーが割り振られたのは当然だろう。

ほら、キャリーはあなたにそっくり。ということは残念ながら、あなたは僕にもそっくりなのだ。

©2023 The Slate Group

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