最新記事

インタビュー

周囲に無視される高齢者の声...ドラマ『ザ・チェア』が描く「エイジズム」

I Am Becoming Less and Less Edited

2021年09月09日(木)17時14分
H・アラン・スコット
ホランド・テイラー

恵まれたキャリアを歩いてきたけれど「年齢」を感じさせられるときもある FRAZER HARRISON/GETTY IMAGES

<疎外されることに敏感な時代に、「演じる」ということとは。ブロンド娘を一喝した『キューティ・ブロンド』でのセリフも健在>

映画『キューティ・ブロンド』で厳しいけれど慕われているロースクールの教授を演じてから20年。ホランド・テイラーがネットフリックスのドラマ『ザ・チェア~私は学科長~』で再び教壇に立った。

今回の彼女のテーマはフェミニズムでなくエイジズム(年齢に対する偏見や差別)。テイラー演じるベテラン大学教授ジョーンは、女性初の学科長に就いたアジア系の若い友人を支える一方で、女性や年齢ゆえの問題に直面する。

「(ジョーンは)声を上げても耳を傾けてもらえない。今の社会は人々が疎外される理由について、ますます敏感になっている」

今年はさらに、報道番組の裏側を描くアップルTV+のドラマ『ザ・モーニングショー』の第2シーズン(9月17日配信開始)にも出演。ネットワーク局の会長を演じる。

「彼女はめったに声を上げない。彼女の発言や判断が、局への至上命令になるという立場だから。その静けさが力でもある」。テイラーに本誌H・アラン・スコットが聞いた。

――『ザ・チェア』のエイジズムの描き方をどう思う?

私の役は、年齢のせいで疎外されるというのがどういうことなのか、私なりに理解する機会を与えてくれた。私は年齢を考えたら、とても恵まれたキャリアを歩いているから。でも、この国に存在するエイジズムの一端は私の周りにたくさんあるし、自分でも経験してきた。

――ジョーンの立場をあなたはどう考えた?

番組のクリエーターのアマンダ・ピートからジョーンという人は周囲の期待に縛られないと説明された。そうした制約を振りほどいた年齢だから、と。それが指針になった。

――『ザ・モーニングショー』ではリース・ウィザースプーンやジェニファー・アニストンのチームに加わった。

私の役目は針を刺すようなもの。突然現れて爆弾を落として去っていく。ドラマにも1カ月半くらい登場しない期間があると思う。途中で『ザ・チェア』の撮影に行って、2カ月半後に戻ったから。

――『キューティ・ブロンド』は今や名作になった。

そこまで特別な作品とは思っていなかったけれど、とてもよくできていた。今でも私のあのセリフを人から言われることがある。

「たった1人の愚かでゲスな男に人生を台無しにされるようなら、あなたは私が思っていたような女の子じゃないのね」(笑)

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…

  • 1

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    カーダシアンの顔になるため整形代60万ドル...後悔し…

  • 5

    キャサリン妃の顔に憧れ? メーガン妃のイメチェンに…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    なぜメーガン妃の靴は「ぶかぶか」なのか?...理由は…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:大森元貴「言葉の力」

特集:大森元貴「言葉の力」

2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る