最新記事

ドラマ

『Lの世界』が描いたレズビアンの物語を、ゼロから作り直した続編

It’s All About the Character

2021年09月03日(金)17時55分
H・アラン・スコット
ジェニファー・ビールス

JILL GREENBERG/SHOWTIME

<17年前にレズビアンたちの愛と喜びを描いたドラマ『Lの世界』。主演のジェニファー・ビールスが続編を語る>

ドラマ『Lの世界』がスタートした2004年、LGBTQ(性的少数者)が主役の作品は珍しく、あったとしても描き方が一面的だった。

「LGBTQの物語は、社会の主流派でないがために生じる痛みを中心に描かれることが多かった」。そう語るのはジェニファー・ビールス。『Lの世界』のオリジナル版でも、19年に始まった続編『Lの世界 ジェネレーションQ』でも主演を務めている。続編は、この8月6日からシーズン2が始まった(日本ではシーズン1が8月28日からHuluで配信)。

彼女にとって続編で重要なのは、より多様性に富んだ人物を登場させていることだと言う。本誌H・アラン・スコットが聞いた。

――『Lの世界』に続編ができるなんて思っていた?

オリジナル版の頃とは世界はすっかり変わった。セクシュアリティーやジェンダー・アイデンティティーに関する言葉は、全く新しいものになった。だから新しい物語をゼロから作り直さないといけないと、私たちは思っていた。

――続編への反応は、オリジナル版とはどう違う?

オリジナル版の放映は、当時としては大変な出来事だったと思う。世間では異性愛が当然とされ、ポップカルチャーでも同性愛者は影が薄く、ドラマにトランスジェンダーの登場人物などいなかった。

そんな時代にオリジナル版は、ロサンゼルスに住むレズビアンたちを描いた。しかも彼女たちの痛みではなく、愛と喜びを中心に据えた。

『ジェネレーションQ』も、ロマンチックな愛と喜びを描いている。痛みを描くにしても、愛という枠組みの中でのこと。ドラマの中にはLGBTQを全面的に持ち上げるものもあるけれど、LGBTQもそうでない人々と同じで、喜びがあって痛みもある。そこを同じように描くことは意味があると思う。

特に若い視聴者にとっては、その点は当たり前になっている。LGBTQを扱うコンテンツは、全く特別なものではなくなった。

――そんな大きなカルチャーの変化に、『ジェネレーションQ』はどう対応する?

制作陣が頑張っているけれど、やはり人物描写が決め手になる。LGBTQのあらゆるアイデンティティーを掘り下げるのは、ドラマでは不可能だ。登場人物の数には限りがあるから。でも制作陣は、ベストを尽くしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

旧ソ連モルドバ、EU加盟巡り10月国民投票 大統領

ワールド

米のウクライナ支援債発行、国際法に整合的であるべき

ワールド

中ロ声明「核汚染水」との言及、事実に反し大変遺憾=

ビジネス

年内のEV購入検討する米消費者、前年から減少=調査
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    むしろ足止め歓迎! 世界の風変わり空港9選

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    104歳にして狩猟免許を初取得したスーパーおばあちゃ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 2

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 3

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 4

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:インドのヒント

特集:インドのヒント

2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり