最新記事

テレビドラマ

「セックス・アンド・ザ・シティ」がサマンサ抜きで復活する必然

2021年01月18日(月)12時00分
猿渡由紀

女性をめぐる社会問題に触れていく?

その前から、ファンは、パーカーとキャトラルが実は仲が悪いのではと薄々気づいていた。しかし、こうやって公になってしまうと、さすがに知らん顔をして「4人は親友」という設定を続けるには無理がある。それに、最初からサマンサ無しにすれば、プロデューサーらは、また揉め事を繰り返す手間も省けるというものだ。サマンサをどうやって消すのかは明らかにされていないが、テレビシリーズでサマンサは乳がんと闘っているし、再発して死んだということにするのかもしれない。あるいは、それだと暗すぎるので、サマンサらしく、華やかに、若いボーイフレンドとヨーロッパにでも引っ越したことにするのかもしれない。

いずれにしても、映画の3作目で考えられていた、ミスター・ビッグが死んでキャリーが悲しむというストーリーとは完全に違うものになるのは確実である。パーカーは近年、キャリーはきっと「#MeToo」運動にすごく熱心に参加するだろうと言っているし、そういった女性をめぐる社会問題に触れていく可能性もありそうだ。

また、白人以外の役者がもっと起用されると思われる。LGBTQのクリエイターが手がけたこともあり、ゲイのキャラクターは最初から登場してきたものの、人種を見ると圧倒的に白人で、本当のニューヨークを反映していないという批判の声は、たびたび出てきているのだ。映画1作目ではジェニファー・ハドソンを起用したが、もっと出番の多い、重要な役で有色人種の俳優を出してくるプレッシャーはあるはずである。いなくなるサマンサを補う、大胆で、見せ場のあるキャラクターが必要とされるし、それをマイノリティの役者が演じれば理想的だ。

それでも、ファンとしては、サマンサがいない「セックス・アンド・ザ・シティ」というのは、やはりなんとなく悲しいという本音は否めない。男同士だったら争っても誰も気に留めないのに、女同士だとメディアはこぞって取り上げると、パーカーは男女不平等について過去に文句を語っていたが、それはごもっとも。しかし、プロデューサーなのだから、そこをなんとかうまくやってほしかったとも思う。まあ、それはもう言っても遅い。今、ファンが望むのは、待った甲斐があったと思える、すばらしい番組を届けてくれることだ。50代になったキャリー、ミランダ、シャーロットは、果たしてどんなふうに私たちをまた感動させてくれるのだろうか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界の石油市場、26年は大幅な供給過剰に IEA予

ワールド

米中間選挙、民主党員の方が投票に意欲的=ロイター/

ビジネス

ユーロ圏9月の鉱工業生産、予想下回る伸び 独伊は堅

ビジネス

ECB、地政学リスク過小評価に警鐘 銀行規制緩和に
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    キャサリン妃の5つの「一軍バッグ」...イギリス製か…

  • 5

    「これからは女王の時代」...ヨーロッパ王室の6人の…

  • 1

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界最高の投手

特集:世界最高の投手

2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍