最新記事

家族

子どもをもたない生き方 ──「チャイルド・フリー」も幸せ

2020年08月14日(金)11時00分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

SolStock

<結婚が家系を受け継ぐための制度だった時代が過去の物になりつつある今、子どもをもたないという選択も認知され始めた>

国際チャイルド・フリーの日

子どもを作らないと決めている人たち(男女とも)がいる。英語ではチャイルド・フリーといい、日本では「選択子なし」「子なし夫婦」「ディンクス(DINKs)」といった言葉も使われている。

8月1日は、国際チャイルド・フリーの日だった。きっと知らない人も多いだろう。この日は70年代から80年代にあった「親にならない人たちのための全米組織 NON(のち改名)」のノン-ペアレンツの日が前身。同組織は当時チャイルド・フリーになることが自分勝手で異様だと受け取られることが普通だったなかで、チャイルド・フリーのライフスタイルを促進しようとしていた。

国際チャイルド・フリーの日は、作家のローラ・キャロルがイニシアチブを取って2013年からスタートし、毎年、チャイルド・フリーの人たちを募集し表彰している。2017年までは「今年のチャイルド・フリーの人」として男女1名ずつ選出した。2018年からは性別を問わない「チャイルド・フリーの人」、そしてチャイルド・フリーのカップルやチャイルド・フリーのソーシャルメディアグループなどの「チャイルド・フリーのグループ」の2カテゴリーに変更した。

今年の受賞者は、個人枠はエリザベス・ヒンツさん(既婚)だ。サウスフロリダ大学の博士号取得候補者で、子どもをもたない選択が理解されることを提唱している。「チャイルド・フリーの人たちが避妊治療をする際に、医師たちから投げかけられる心ない言葉」「子どもをもたないという選択について、過去40年間の報道の変化」といったことを研究していて、2019年にはヒンツさんの論文は、全国コミュニケーション協会より学生論文として最高の賞を受けた。

団体枠は、ロシアのチャイルド・フリーの人たちのインターネットコミュニティとその創設者が選ばれた。現在、登録者は6万人を超え、家父長的なロシア社会で、何年にもわたって「子どもがいないことは普通だ」という考え方を支援している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…

  • 1

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    カーダシアンの顔になるため整形代60万ドル...後悔し…

  • 5

    キャサリン妃の顔に憧れ? メーガン妃のイメチェンに…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    なぜメーガン妃の靴は「ぶかぶか」なのか?...理由は…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:大森元貴「言葉の力」

特集:大森元貴「言葉の力」

2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る