最新記事

社会

「結婚を1人の男と女の間に限定したところで、異性愛性が真に保証されるわけでは決してない」

Not as Straight as We Thought

2019年12月24日(火)18時23分
ニューズウィーク日本版編集部

──とはいえ、妻とレズビアンの恋人との関係ゆえに夫との関係がうまくいかなくなったり、妻が離婚しようとする場合には、夫からの逆襲がないことを祈るしかなかった。

そうだ。夫の中には妻が女性と恋愛関係にあることを示す手紙や証拠を取っておいたり、それを知っているだけであっても、親権争いや離婚においてそれを女性に不利な材料として使う人もいた。

既婚でバイセクシュアルを公言しているケイティー・ヒル前下院議員をめぐる今年10月の騒動(女性スタッフと性的関係にあったことを暴露されて辞任した)もそうだ。21世紀的な出来事だったと言う人は多い。リベンジポルノやら複数の相手との関係やら、女性の性的な柔軟性もしくは両性愛が出た話だったからだ。

NW_LTM_02_191224-nww-003.jpg

同性のスタッフとの関係を暴露され辞任したケイティー・ヒル前下院議員 WIN MCNAMEE/GETTY IMAGES

だがこれは、彼女の夫が引き起こした事件でもあった。ヒルの夫は結婚生活が続いている間は妻と他の女性との性的関係を許容していた。だが妻との関係がうまくいかなくなるとそれをネタに妻を攻撃した。戦後期を見ても、これはとてもよくある話だ。

【参考記事】同性愛を公表したらキャリアに傷が──クラシック音楽界とメディアのタブー

──誰もが心の中に配偶者とは別の愛人のための秘密の部屋を持っているけれど、秘密はいつでも破られ得ると。

そのとおり。中には本当に優しい夫もいた。例えばパット・ガンティのケースだ。ある朝、夫はパットからの手紙を読んだ。そこには自分はレズビアンで、夫婦関係を終わらせる必要があると書かれていた。夫は彼女を抱き締め、こう尋ねた。「君を支えてあげるにはどうすればいい?」

夫はパットが家を出ていった後も長い間、パットの母と暮らして面倒を見た。愛情に満ちた男性だった。

©2019 The Slate Group


2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

[2019年12月24日号掲載]

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米中貿易協議で大きな進展とベセント長官、12日に詳

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    大叔母「麗人・アン王女」を彷彿とさせる、シャーロッ…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    シャーロット王女が放つ「ただならぬオーラ」にルイ…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    世界がくぎづけとなった、アン王女の麗人ぶり

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    「これからは女王の時代」...ヨーロッパ王室の6人の…

  • 5

    「未来のスペイン女王」レオノール王女の成人の誓い.…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語