最新記事

子育て

自己主張を守るという名の放任子育てが増殖中! 子どもの自己主張と自我主張の見極めと対処法

2019年12月10日(火)17時10分
船津徹

ぐずる子どもについ「言うこと聞いたらお菓子を買ってあげる」と言ってしまう気持ちも分かるが… tdub303-iStock

<ルールの服従ではなく、「どう行動すれば皆が楽しく快適に過ごせるのか?」を考えさせ、子どもが自分の「心の声を聞く」習慣を身につけさせるのがしつけ。しつけが子どもの「人生を快適にする知恵」となるのです>

クリスマスシーズンになると母親が子どもを連れて買い物に出かける機会が多くなります。すると、デパートで走り回る3歳児に手を焼いた母親が「言うことを聞かないと、サンタさんが来ないよ!」と「切り札」を出すようになります。

アメリカではホリデーシーズンになると、家族でパーティーに呼ばれたり、知人や親戚の家で食事をする機会が増えます。公共の場で子どもがマナー違反をして恥をかかないように、親は「Santa is watching/サンタが見てるよ!」とあらかじめ釘をさしておきます。

もちろんこの「切り札」が使えるのはクリスマス前の一時期だけですが、子どもにとっては「モノ」に関わる一大事であり、驚くほど効果を発揮します。あれだけ聞き分けなかった子どもが言うことを聞くようになるのです!

子どもをモノで釣ることの弊害

子どもの行動をコントロールする最終手段として「切り札」を使うのは、まあ仕方ないのですが、これが日常的になると親子関係がちぐはぐしてきます。「言うこと聞いたらお菓子を買ってあげる」「後でおもちゃ買ってあげるから今は言う事聞いて」など、子どもを「モノ」で釣る場面が増えると、聞き分けのない行動を長引かせることになるのです。

モノで釣る行為は、少し視点を変えると「言うことを聞けばモノがもらえる」「ぐずればモノが手に入る」というメッセージを子どもに送っていることでもあります。事実英語ではこのような行為を「Bribing children to behave/行儀よくするようにわいろを渡す」と言います。

子どもも知恵が働きますから、わざと面倒な行動を起こしてモノを要求するようになるのです。最初は親がわいろを渡して「言うことを聞いてもらおう」としていたのに、今度は子どもが「言うことを聞いてもらいたければモノをよこせ!」とわいろを要求するようになるのです。

かく言う私も小学校の入学式当日に「学校に行かない!」と駄々をこねて欲しかった自転車をまんまんとせしめた経験があります。(反省しているので今もよく覚えています)今子育てをしている方も、子ども時代を振り返ると、親や祖父母を困らせてモノを手にいれた経験が一度や二度はあるのではないでしょうか。

親は軽い気持でモノで釣るのでしょうが、子どもはそう受け取らないのです。子どもは本当に賢いですから経験から学習します。そして徐々に要求をエスカレートさせていくのです。「いい成績を取ってもらいたければゲームを買ってくれ!」「勉強してもらいたければスマホを買ってくれ!」となります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

銃撃受けた保守派政治活動家チャーリー・カーク氏が死

ワールド

米中国防相が初協議、対立回避と地域利益防衛を強調

ワールド

英首相、ガザ情勢に「強い懸念」表明 イスラエル大統

ビジネス

米国株式市場=S&P連日最高値、オラクル急伸
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 2

    「指を入れるのが好きじゃない」...フランス発ベスト…

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    ハン・ガンのノーベル文学賞受賞はなぜ革新的なのか?…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

  • 4

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 5

    話題の脂肪燃焼トレーニング「HIIT(ヒット)」は、心…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が尊敬する日本の小説36

特集:世界が尊敬する日本の小説36

2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは