最新記事

カルチャー

存在理由はないが秀作の『トイ・ストーリー4』 新旧おもちゃたちが問いかける人生の意味

2019年07月12日(金)16時55分
デーナ・スティーブンズ

終盤にウッディたちが下す決断とは…? 本日7月12日(金)公開 ©2019 DISNEY/PIXAR. ALL RIGHTS RESERVED.

<シリーズ最新作『トイ・ストーリー4』はアクションで魅せ、最後にほろりとさせる>

最初にはっきりさせておくと、『トイ・ストーリー4』にこれといった存在理由はない。前作で物語はきれいに完結した。おもちゃたちはアンディ少年が大人になるのを見届けて、次の持ち主ボニーに引き取られたのだ。

ピクサーアニメに感動シーンは多々あれど、前作の結末ほど涙を絞ったのは『カールじいさんの空飛ぶ家』のオープニングくらいだろう。観客は自分のおもちゃに別れを告げるかのように、切ない気持ちになった。

以来、ピクサーが作った映画の半数以上はヒット作の続編。つまり『トイ・ストーリー4』も金儲けの道具かと勘繰りたくなるが、意外や意外、独創性あふれる楽しい秀作に仕上がった。

テーマはずばり「存在理由のなさ」。カウボーイ人形のウッディ(声はトム・ハンクス)は 自分が何のために生きているのか分からなくなり、悩んでいる。

【参考記事】ランプの魔法も効かない!? 実写版『アラジン』に拭いきれない嫌な予感

昔はアンディの一番のお気に入りとして、おもちゃのリーダー格だった。なのに4歳の女の子ボニーにもらわれてからは、ままごとや着せ替えごっこに駆り出される仲間を見ながら埃をかぶる日々。子供を愛し、子供に愛されることが生き甲斐のウッディは昔を懐かしむ。

しかもボニーが保育園に上がると新たなライバルが出現し、がぜん不安が募る。ボニーが工作の時間にゴミ箱から拾った先割れスプーンで作った「フォーキー」だ。どう見てもガラクタなのに、ボニーに愛され、おもちゃとして命を吹き込まれた。

当初、自分をゴミだと思っているフォーキーは隙あらばゴミ箱に飛び込んでいく。ボニーがフォーキーを大切にしているのを知るウッディは、そのたびにゴミ箱から彼を引っ張り出す。

2世代の子供に愛されて

ある日、ボニーの一家は遊園地を目指してドライブ旅行に出かける。おもちゃたちも一緒だ。遊園地近くの骨董店で、ウッディはある電気スタンドに目を留める。アンディの妹のかつての持ち物で、磁器製の羊飼い人形ボーが付いているものだ。

昔からボーに引かれていたウッディは彼女を探そうとフォーキーを連れて店に乗り込むが、ここで新キャラが続々登場。おしゃべり人形なのに製造不良で声の出ないギャビー・ギャビーと手下の腹話術人形たちや、「カナダーのスタントマン」とうぬぼれるデューク・カブーン(キアヌ・リーブス)もいる。

ウッディはボーを見つけて骨董店から逃げ出そうとするが、フォーキーがギャビーたちの手で戸棚に閉じ込められてしまう。その行方知ずのフォーキーを、ボニーと両親は探し回る。

【参考記事】ディズニーが認めた日本人テクノロジーアーティストの底知れぬ世界

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米関税、英成長を圧迫 インフレも下押し=英中銀ディ

ビジネス

米9月中古住宅販売、1.5%増の406万戸 7カ月

ビジネス

ユーロ圏消費者信頼感指数、10月はマイナス14.2

ワールド

米、イスラエルによるヨルダン川西岸併合容認せず、副
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    確実に妊娠したい女性たちへ――精度の高いタンポン型…

  • 5

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:脳寿命を延ばす20の習慣

特集:脳寿命を延ばす20の習慣

2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ