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存在理由はないが秀作の『トイ・ストーリー4』 新旧おもちゃたちが問いかける人生の意味

2019年07月12日(金)16時55分
デーナ・スティーブンズ

今回も手に汗握るアクションの連続だが、登場人物たちはそのただ中で静かに人生を見つめる。とりわけウッディとフォーキーが手をつないで路肩を歩き、人生を語り合う場面は印象深い。フォーキーはこの世に生まれた意味に気づき、ウッディは新たな生き方に目を向けるのだ。

終盤にウッディたちが下す決断に、前作のラストのような必然性は感じられない。だが過去への郷愁とまだ見ぬ未来への希望、苦楽を共にしてきた仲間への愛が胸を打つのは同じだ。

第1作『トイ・ストーリー』で、ピクサーが全く新しいスタイルのアニメを世に送り出してからまもなく25年。あの頃、親に連れられて映画館に行った子供の多くが、自分の子供を連れて最新作を見に行くだろう。

このシリーズが教えてくれたように、子供時代の宝物にさよならを言うのは悲しいけれど必要なこと。親会社のディズニーがクオリティーを二の次にして続編を乱発したがるなら、ピクサーもこの名シリーズに別れを告げる潮時かもしれない。

『トイ・ストーリー 4』
監督/ジョシュ・クーリー
声の出演/トム・ハンクス、ティム・アレン
日本公開は7月12日


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※7月16日号(7月9日発売)は、誰も知らない場所でひと味違う旅を楽しみたい――。そんなあなたに贈る「とっておきの世界旅50選」特集。知られざるイタリアの名所から、エコで豪華なホテル、冒険の秘境旅、沈船ダイビング、NY書店めぐり、ゾウを愛でるツアー、おいしい市場マップまで。「外国人の東京パーフェクトガイド」も収録。

[2019年7月16日号掲載]

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