最新記事

ヒラリー・クリントン

「人をイラつかせる何か」を持つヒラリー 22年も嫌われ続けるその理由

2019年01月25日(金)17時30分
ミシェル・ゴールドバーグ(ジャーナリスト)

口から出てくるのは嘘ばかり

ヒラリーは人間性に欠けると思う人々は、彼女を好きではない、というだけではない。それぞれの立場から、彼女も自分たちを好きではないと感じている。

「私のような境遇の人間が人生で何を必要としているのか、彼女には想像もつかないだろうし、私を相手にすることも決してない」と、アイオワ州在住のミンディ・ガードナーは語る。「私が彼女に利益をもたらすことができるとしたら、彼女は私の親友になるだろうけれど」

ガードナーは、大手スーパーチェーンで働きながら2人の子供を育てるシングルマザーだ。「私は12歳から働いている。子供の頃は、自分で稼いだお金でいろいろなことができた。今はわが子を食べさせるだけで精いっぱい」。最低賃金で週40時間働いても、まともに家賃も払えそうにない。

クリントン夫妻が「企業に対するさまざまな制約を取り除き、多くの法律を変えたおかげで、企業は労働者の給料を減らしやすくなり、組合と対決できるようになった」と、ガードナーは続ける。かつて、労働者は解雇や年金の心配をする必要はなく、福利厚生もあった。「会社のために一生懸命に働けば、もらえるものだった」

0911p26-hillary002.jpg
92年のビルの大統領選を前に一人娘のチェルシーと BROOKS KRAFT LLCーSYGMA/GETTY IMAGES

「ビルとヒラリーの友人は金持ちばかりで、大企業の所有者だった。自分の権力を使って仲間を限界まで裕福にできる立場になれば、誰だってそうするだろう」

ヒラリーが大統領選で最低賃金の引き上げを提唱したことについても、ガードナーは最初から信用していなかった。「彼女の口から出てくるのは嘘ばかりだから」

ミシェル・オバマとの違い

一方でトランプ支持者は、熱にうなされたようにヒラリーを非難する人ばかりではないにせよ、イデオロギーを超越した強い憎悪を抱いている。

陸軍を退役してノースカロライナ州で暮らすデニー・ブッチャーに言わせれば、オバマはヒラリーに輪を掛けて問題だらけだが、はるかに親しみを感じる。「オバマは左派の中の左派。ほぼあらゆるテーマで、私とは正反対の立場だ」

それでも、とブッチャーは続ける。「オバマと道で会えば、私は彼をいいヤツだと思うだろう。ヒラリーにそう感じることはない。彼女に好感を持ったことは一度もない。彼女は自分が法を超越した存在で、私たち田舎者より上だと思っている」

ブッチャーは民主党支持の家庭で育ち、92年の大統領選はビル・クリントンに投票した。その後、右派に転じ、現在は共和党支持者だ。

ヒラリーのことは最初から嫌いだったが、彼女がファーストレディーとして医療保険改革の先頭に立ってから、一層嫌いになった。「選挙で選ばれていない彼女が、選挙で選ばれていないポストで勝手なことをやっていた。立法に携わることは、彼女の仕事ではなかった」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女子サッカーで世界初、生理周期に合わせてトレーニ…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    「生で食べればいい」にちょっと待った! 注目のブ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 3

    メーガン妃はイギリスで、キャサリン妃との関係修復…

  • 4

    ヘンリー王子の「金欠」をチャールズ国王が心配...最…

  • 5

    世界一スキャンダラスな絵画、謎に包まれた「女性器…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:ジョン・レノン暗殺の真実

特集:ジョン・レノン暗殺の真実

2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは