配車アプリは女性運転手2000人を採用 女性の運転解禁後のサウジアラビアで起きていること
2020年までに中東・アフリカ圏14カ国で2万人の女性運転手の採用を試みる配車サービス会社「Careem(カリーム)」。このサービスは、サウジアラビアだけで年間200万人の乗客が利用する。
配車アプリはすでに2000人の女性運転手を採用
女性が運転できることにより、Uber(ウーバー)などの配車アプリにも影響が及びそうだ。Uberは同国で女性の運転手の採用を積極的にしていく方向だ。CNNによると、サウジアラビアのUberの顧客の80%は女性だという。女性運転手が増えることで、保守的な女性も安心して乗車できることになりそうだ。
一方、Uberのライバル企業で中東・アフリカ圏14カ国に展開する配車サービス「Careem(カリーム)」は、すでにサウジアラビアで2000人の女性運転手を採用した。
本誌の取材に、同社のマーケティング部マネジャーのムルタッダ・アララウィは以下のように現在の状況を語る。
「現段階で、何千人もの女性からの応募を受けた。今後、さらに女性の雇用を増やす予定だ。目標は、弊社が運営する14カ国で合わせて、2万人の女性を採用することだ」
「現在、女性運転手たちはリヤド、ジッダ、ダンマームの3都市の事務所で訓練を受けている。訓練ではアプリの使い方、交通安全、車の手入れの方法や、お客様へのサービスまで幅広く教えている。彼女たちには安心して働いてもらい、長期的関係を築いていけるようにしていきたい」
上記以外にも、女性の運転解禁後にサウジ社会には様々な新しい動きが見られた。女性専用の救急車の採用や、女性専用の車のショールーム、女性専用の教習所の開設などだ。
同国では、社会的な変化は速いペースで起こっているようだ。長期的にも、女性が社会進出をすることで、経済効果だけでなく、新たな「女性の権利」が確立されていくだろう。
[執筆者]
西川彩奈
フランス在住ジャーナリスト。1988年、大阪生まれ。2014年よりフランスを拠点に、欧州社会のレポートやインタビュー記事の執筆活動に携わる。過去には、アラブ首長国連邦とイタリアに在住した経験があり、中東、欧州の各地を旅して現地社会への知見を深めることが趣味。女性のキャリアなどについて、女性誌『コスモポリタン』などに寄稿。パリ政治学院の生徒が運営する難民支援グループに所属し、ヨーロッパの難民問題に関する取材プロジェクトなども行う。日仏プレス協会(Association de Presse France-Japon)のメンバー。
Ayana.nishikawa@gmail.com