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「切り抜いて生理用品として使ってください」――先進国で靴下や新聞紙をナプキン代わりにする少女がいるという現実

2018年08月23日(木)17時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

@moreaboutads-Twitterより

<女の子の12%が靴下、ぼろ布、トイレットペーパー、さらには新聞で代用している。生理期間中に学校を休むケースも......>

イギリスの少女のうち10人に1人が生理用品を買えないでいることをご存知だろうか。生理用ナプキンやタンポンを手に入れることに苦労したことがない人間にとって、この貧困の現実を理解するのは難しいことだろうが、実際に起こっている。それも、先進国のイギリスで。

ニュースメディア「リファイナリー29(Refinery29)」によると、イギリスの若い女の子の約10人に1人は、生理用品を購入するのに苦労している。イギリスに本部を置く国際NGOプラン・インターナショナルの実施した調査では、女の子の12%が靴下、ぼろ布、トイレットペーパー、さらには新聞で代用しているという衝撃の実態が明らかになった。昨年、英メトロ紙も靴下を使うケースを伝えている。

なぜ、これほどまでに事態は深刻になったのか。イギリスでは2010年を皮切りに緊縮経済が始まった。当時のデービッド・キャメロン英首相は、自身が掲げていた巨額の財政赤字削減の公約を実行するために福祉予算などを大幅に削減した結果、貧困層が大きなしわ寄せを食らい、彼らの生活状況はより悪化。彼らの家庭でどのようなことが起きるだろう。答えは簡単。緊縮財政は家庭内の弱者、少女たちに犠牲を強いることになった。

【参考記事】「収入圧縮」で知らぬ間に進むイギリスの貧困化

生理用品は「ぜいたく品」なのか?

そんなイギリスで8月13日、週の始まりの月曜の朝、駅に置かれたフリーペーパーに掲載されたある広告に、多くの人が目を止めた。

(実際の広告。中央には「この広告を切り抜いて生理用品として使ってください」というメッセージが)


この広告はAdam&Eve/DDBがローンチする新しい生理用品ブランド「ヘイ・ガールズ(hey girls)」のプロモーションの一環。大手スーパー、ウェイトローズと米ウォルマート傘下のアズダでの販売開始に合わせてキャンペーンが行われた。

同ブランドが購入されると、それに連動して生理用品を買えずに困っている少女たちに寄付される仕組み。Refinery29によると、オンラインなどで1月から販売をスタートさせていて、これまでに、フードバンク、女性センターや学校などを通じて、すでに8万5500ポンド(約1200万円)相当の生理用ナプキンと4万2000箱のタンポンが寄付された。

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