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質店の好調が示すアメリカの景気低迷度

最近は富裕層の顧客も増加、少額しか借りられなくても訪れる客は後を経たない――質店の盛況ぶりから読み取れる市民生活の実態

2011年8月1日(月)12時58分
ゲーリー・リブリン

商売繁盛 高額の手数料にもかかわらず質店を訪れる市民は増える一方だ Lucy Nicholson-Reuters

 景気低迷にあえぐアメリカで、絶好調の業者がいる。質店だ。

 質店は過去数年、スポーツカーで大画面テレビを売りに来る人など、新しい顧客層を次々と獲得してきた。もちろん、従来の顧客層も相変わらずの生活苦が続いている。カネを必要とする客は増えるばかりだ。

「質店に客が来るということは、苦しんでいる人がいる証拠だ」と、イリノイ州で質店を営むキャシー・ピアースは言う。彼女によれば、質店が客に貸す額は「かつてないほど高額になっている」。

 通常、質店が時計や指輪を担保に貸すのは100ドル以下。次の給料日まで何とか食いつなげるくらいの額だ。客の5人に4人は数週間から数カ月でカネを返し、質草を持ち帰ることができる。

 質店の手数料は高額で、利率にして年間50〜250%。客がカネを返しに来なくても担保品が売れる保証がないというリスクゆえだ。質店の収入の大部分は担保品の売り上げによるものだが、不景気になれば担保品が売れなくなる。

 それでも、大半の質店は貸付額が跳ね上がったここ数年、手数料で売り上げの不足分を十分に補えているという。

[2011年6月29日号掲載]

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