最新記事

iPhone

新型iPhoneは大丈夫? アップル、中国によるハッキングめぐりグーグルに反論

2019年9月9日(月)12時32分

米アップルは、中国政府が治安上の脅威とみなすイスラム系少数民族、ウイグル族がiPhoneの基本ソフト「iOS」のセキュリティー上の欠陥によってサイバー攻撃の標的となっていたことを確認した。写真は2017年7月に上海で撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

米アップルは6日、中国政府が治安上の脅威とみなすイスラム系少数民族、ウイグル族がiPhoneの基本ソフト「iOS」のセキュリティー上の欠陥によってサイバー攻撃の標的となっていたことを確認した。ただ、攻撃の範囲は狭く、すでに欠陥は修正済みだと説明。アルファベット傘下グーグルの研究者らが指摘したような、リアルタイムでのiPhoneユーザーの追跡にはあたらないと反論した。

グーグルのセキュリティーチーム「プロジェクト・ゼロ」の研究者らは先に、5つのセキュリティー上の欠陥が「少なくとも2年以上にわたり、あるコミュニティー内のiPhoneユーザーをハッキングする持続的な取り組み」につながったとする調査結果を公表。コミュニティーについて特定はしなかった。

だが、CNNやテッククランチなどのメディアは、ウイグル族を監視するためのサイバー攻撃だったと報道。ロイターは先に、中国がウイグル族の渡航者を監視するため、アジアの通信会社にハッキングしたと伝えていた。

アップルは6日、サイバー攻撃は「対象が狭い範囲に絞られていた」とし、影響を受けたのは「ウイグル族コミュニティーに関連したコンテンツに特化した10件ほどのウェブサイト」であり、グーグルのチームが指摘したような「大規模な」iPhoneユーザーへのハッキングではないと説明した。

また、欠陥は今年2月に修正済みで、グーグルの指摘から10日以内に修正したことを明らかにした。

アップルは声明で、ウイグル族関連のウェブサイトが攻撃を受けた期間は2カ月間で、グーグルが指摘した2年ではないと反論。「iOSの修正パッチがリリースされてから半年後に公表されたグーグルの調査結果は、集団全員の私的な活動をリアルタイムで監視しているかのような誤解を与える内容だ。すべてのiPhoneユーザーの間に自身の端末がハッキングされているとの懸念をもたらしている」とし、「そのようなことはない」と強調した。

一方、グーグルは声明で、自社の調査結果を支持しており、アップルや他の企業とともに、セキュリティー上の欠陥の発見・修正に取り組み続けると表明。

「プロジェクト・ゼロが公表した技術調査の結果はセキュリティー上の脆弱性への理解を深めるためのもので、それは防御戦略の向上につながる」とし、「これらの脆弱性の技術的側面に特化して書かれた調査結果をわれわれは支持する」と明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ワールド

ロ、米のカリブ海での行動に懸念表明 ベネズエラ外相

ワールド

イラン、複数都市でミサイル演習 国営メディア報道

ワールド

ベネズエラ原油輸出減速か、米のタンカー拿捕受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中