最新記事

BOOKS

アメリカのブックフェアで見た中国の「押し売り」プロパガンダ

China’s Propaganda Display at Book Expo America

印刷

bookfair2.JPG

今年のBEAで中国は広大な展示スペースを買い取った

 BEAでは、人気作家のサイン会には何時間も前から並ばないといけないし、並んでも手に入らないこともある。それなのに、中国ブースの作家のサイン会には客がいない。偶然通りかかった人が本を取り上げて中を見るが、「無料です」と言われても「けっこうです」と断っている。第二次世界大戦でいかに日本が非道だったのかを延々と綴ったようなプロパガンダ本はタダでも読みたくないのだ。中国が買い取った広大なブースは開催期間を通じて客は集まらず、ガラガラだった。

 BEAの客たちは、中国の押し売り作戦には厳しかった。あれだけの費用を費やした結果は、こんな冷たい肩透かしだ。中国がアメリカに本を売りたいのであれば、投獄中の作家をプッシュしたほうがずっと効果的だ。世界はそういう作家の作品を読みたいのだから。

 そもそも、国家が展開するプロモーションは、「わが国のイメージはこうでありたい」、「売るとしたら、それに合うものだけ」という自己満足の押し売りになりがちだ。そして、客を無視した押し売りは、湯水のように金を注ぎ込んでも絶対にうまく行かない。

 日本政府も、BEAでの中国展示から学ぶことは少なくないと思った。

今、あなたにオススメ

最新ニュース

ワールド

ペルー大統領、フジモリ氏に恩赦 健康悪化理由に

2017.12.25

ビジネス

前場の日経平均は小反落、クリスマス休暇で動意薄

2017.12.25

ビジネス

正午のドルは113円前半、参加者少なく動意に乏しい

2017.12.25

ビジネス

中国、来年のM2伸び率目標を過去最低水準に設定へ=現地紙

2017.12.25

新着

ここまで来た AI医療

癌の早期発見で、医療AIが専門医に勝てる理由

2018.11.14
中東

それでも「アラブの春」は終わっていない

2018.11.14
日中関係

安倍首相、日中「三原則」発言のくい違いと中国側が公表した発言記録

2018.11.14
ページトップへ

本誌紹介 最新号

2025.5. 6号(4/30発売)

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

2025.5. 6号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

Introduction AI時代に国際ニュースを英語で読む
【AMERICAS】
アメリカ 絶好調のトランプとアメリカ国民の蜜月が続くヤバさ
中南米 米中ロが攻防を繰り広げる世界の大国の「チェス盤」
【EUROPE】
ロシア 100年の恨み噴き出す戦争に終わりは見えず
ウクライナ 反骨の男ゼレンスキーをトランプ禍が悩ます
イギリス 欧州のリーダーとしていま浮上する不思議
ドイツ 財政均衡の呪縛を脱し政治経済立て直しへ
ヨーロッパ 不安の時代に流動化する欧州大陸
【ASIA】
中国 老いゆく経済大国にくすぶる火種
日本 トランプ時代に試される石破の「脱安倍」外交
韓国 ダイナミックで不安定 現状変更が好きな国
北朝鮮 貧困と孤立から脱皮へ 知られざる大変化
インド 世界一の人口大国に経済覇権の夢あり
【MIDDLE EAST & AFRICA】
イスラエル/パレスチナ 終わりなき混沌の歴史をひもとく
サウジアラビア 米中ロとわたり合う全方位外交の狙い
イラン 国内締め付けと核開発 ハメネイに迫る決断の時
中東・アフリカ 今も終わらないイスラム国の脅威
デジタル雑誌を購入
最新号の目次を見る
本誌紹介一覧へ

Recommended

MAGAZINE

特集:静かな戦争

2017-12・26号(12/19発売)

電磁パルス攻撃、音響兵器、細菌感染モスキート......。日常生活に入り込み壊滅的ダメージを与える見えない新兵器

  • 最新号の目次
  • 予約購読お申し込み
  • デジタル版

ニューストピックス

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム&ブログ
  • 最新ニュース