最新記事

マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実

2025年12月28日(日)11時10分
早川幸子 (フリーライター*DIAMOND Onlineからの転載 )

おくすり手帳を持参する医療費面のメリット自己負担が高くなるケースとは?

当初、おくすり手帳による情報提供は、一部の医療機関や調剤薬局が任意で始めたサービスだったが、2000年に国の制度になり、調剤報酬がかかるようになった。おくすり手帳への情報提供にかかる料金は、現在は薬局の調剤報酬のひとつである「服薬管理指導料」に含まれている。


服薬管理指導料は、薬剤師が患者に医薬品の情報提供や服薬指導などを行うことに対する料金だ。具体的には、処方された医薬品の確認と説明、残薬の確認などの服薬指導、薬の使用状況の継続的なフォローアップといった一連の調剤業務を行うことが薬剤師に義務づけられている。

一般の患者が薬局を利用した場合の服薬管理指導料は次の2つで、おくすり手帳の「あり・なし」によって差が出るようになっている(介護老人福祉施設等の入所者を除く)。

newsweekjp20251224071823.jpg

同じ薬局を3カ月以内に利用し、おくすり手帳を持参した場合は(1)で、服薬管理指導料は処方箋の受付1回につき450円。70歳未満で3割負担の人の自己負担額は140円だ。

それ以外の人は(2)で、「その薬局を初めて利用した」「同じ薬局を利用したが3カ月超えていた」「同じ薬局を3カ月以内に利用したが、おくすり手帳を忘れた」という場合は、服薬管理指導料は590円で、自己負担額は180円になる。

ここで注意したいのが、「同じ薬局を3カ月以内に利用した」場合だ。利用した薬局、利用頻度は同じなのに、おくすり手帳を提示しなかっただけで自己負担額が40円高くなってしまう点だ。

おくすり手帳は、これまでの服用履歴を時系列でまとめていくもので、複数の医療機関から処方された薬が1冊の手帳にまとめられていることが前提となっている。

これを見れば、その患者が服用している薬が一目で分かり、重複投与や相互作用などが見つけやすくなり、薬剤師の業務効率も上がる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米北東部に寒波、国内線9000便超欠航・遅延 クリ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中