最新記事
ヘルス

血糖値が急上昇する食事が「血管と全身の老化」をもたらす 炭水化物大好き人間を待つ「恐怖の結末」

2023年9月22日(金)14時25分
池谷敏郎(池谷医院院長、医学博士) *PRESIDENT Onlineからの転載

最強の老化物質AGEsが老化や病気を招く

もう1つの老化の原因、コゲ(=糖化)についても説明しましょう。

肌や筋肉をつくるのが、たんぱく質であることはよく知られていますが、血管の主要材料もたんぱく質です。血糖値の上昇から高血糖状態が続くと、血液中に余ったブドウ糖が血管壁のたんぱく質と結びつき、それが体温で温められることで「コゲ」が生じます。

これが「糖化」という現象です。

血管壁に糖化が起こると、そこに活性酸素が生じ、組織に変性が起こります。

糖化反応で変性したたんぱく質は、「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれます。AGEsは血管だけでなく、体のあちこちで発生し蓄積され、体内の細胞をどんどん老化させるため、「最強の老化物質」ともいわれます。

AGEsが肌に発生すると、肌のコラーゲンに変性を起こして弾力を失わせ、しわやたるみがどんどんできるという、"ゾッとするようなこと"が起こります。

さらには、糖尿病のリスクが上昇したり、その蓄積によって、がんや認知症のリスクが上がることもわかってきています。

甘いもの、ごはんやパンで血管の老化が進む

「完全版 最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方」「酸化」も「糖化」も、引き金となる最大の要因は「血糖値の急上昇」です。そして、血糖値を上昇させるのが、「糖質」を多く含む食品をたくさん食べることです。

とくに、主食のごはんやパン、麵類などの穀類、また、「皮膚が水をもらえない花のようにしおれていく...20代→60代で毛細血管が4割まで減る『ゴースト血管』の恐怖」という記事において「老けて見える人のNG生活習慣」として示した、砂糖や甘い清涼飲料水などの甘味類、果物類などの甘いものは糖質が多く、血糖値を急上昇させてしまう食品や飲料の代表です。

ごはん好き、パン好き、甘いものは欠かせないという人は少なくないかもしれませんが、ここではぜひ、糖質の多い食事を続けていると、高血糖状態をくり返し、そこから血管の老化が進む、ということを覚えておいてください。

もちろん、完全にやめる必要はありません。意識をして摂りすぎないようにすることが重要なのです。

池谷敏郎(いけたに・としろう)

池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ヤム・ブランズ、ピザハットの売却検討 競争激化で

ワールド

EU、中国と希土類供給巡り協議 一般輸出許可の可能

ワールド

台風25号がフィリピン上陸、46人死亡 救助の軍用

ワールド

メキシコ大統領、米軍の国内派遣「起こらない」 麻薬
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中