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地産地消を入り口に、キャンパーを地域観光に導くテロワールキャンプ

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2023年3月27日(月)11時00分
文=西山 亨 写真=野田 真

日本全国のキャンプ場と地域の農家を繋ぐプラットフォーム「TerroirCAMP」を展開する山崎繁幸氏


<農山漁村発のイノベーションを推進させるために、農林水産省が手掛ける起業支援プラットフォームのINACOME(イナカム)。この度、「農山漁村発イノベーション INACOMEビジネスコンテスト2022」が開催され、最優秀賞に『キャンプde地産地消「TerroirCAMP」(テロワールキャンプ)』(以下、TerroirCAMP)が選ばれた。地方経済の活性化を促す新たなビジネスモデルとして期待が寄せられている>

生産者と消費者を直接つなげるビジネス

TerroirCAMPを企画した山崎繁幸氏は、マーケティング、プロモーション、イベントなどのコミュニケーションデザインや地方創生事業を手掛ける株式会社Engi(エンギ)で取締役CSOクリエイティブディレクターとして活躍。過去には飲食店情報サイトを運営するぐるなびに13年間在籍し、飲食業界に精通した経歴をもつ。

実は、TerroirCAMPは2022年1月からビジネスとしてスタートしている。そのアイデアの発端になったのが、2016年から同社が展開しているBBQ TERRACE(バーベキュー テラス)という事業形態だ。

「前職では農家に対して、飲食店に農産物を直接販売するという新しい販路を提案。約800人の農家と会って改めて感じたのは、農家から直接いただく野菜は非常に美味しいこと。この体験に新しい価値を見出せるのではないかと思った」と、当時を振り変える。

以前から飲食店の収益で問題になっていたのが利益率の低さであり、家賃などの固定費と人件費がのしかかるため改善が進まなかった。山崎氏が家賃や人件費を抑えることはできないかと辿り着いたのが、遊休地を活用したBBQ TERRACEだった。

「使っていないビルの屋上や倉庫、広場といった遊休地をもつオーナーとフランチャイズ契約し、オーナーはバーベキュー場として経営。お客様は生産者から直接届く食材をバーベキューとして楽しむので、人件費も極端に減らすことができる」という、新しいビジネスモデルが誕生した。

JA直売所が扱う地元の食材をキャンプ場へ届ける

TerroirCAMPで提供されるバーベキュー食材

TerroirCAMPで提供されるバーベキュー食材

しかし、2020年春からコロナ禍が本格化したことでフランチャイズ展開のスピードが鈍化。その頃、キャンプ場関係者からBBQ TERRACEで使っている地元の食材を使いたいという要望があり、キャンプ場へ食材を卸す新たな事業がスタートした。

背景には、「キャンプ場の近くには地元の食材を売っているところがほとんどなく、そもそもキャンプ場は少ない人数で運営するローコストオペレーションなので、買いに行けるスタッフもいない。またキャンプ場は僻地にあることが多く、配送してくれる業者も見つけくい」という事情があった。

当時、食材を提供する生産者はEngiが開拓していたが、キャンプ場からの要望が増えたため、JAに協業を提案した。これがTerroirCAMPの始まりだ。キャンプ場利用者がバーベキュー食材の購入を希望した場合、キャンプ場近くのJA直売所などから地元の食材が送られる仕組みを整えた。

「ほとんどのスーパーなどでは焼肉用の薄切りの肉しかなく、バーベキューに適した塊肉を売っていない。そのため肉はイチボやランプといった赤身の塊肉を用意。また、最も差別化を図れるのが野菜。玉ネギやカボチャは丸ごと焼くととても美味しく、変わった色のニンジンやズッキーニが入るなど、期待以上の内容が好評」だという。

山崎氏がTerroirCAMPを進めていくなかでわかったことがある。それは全国約1500カ所にあるJA直売所のうち約半数は赤字経営であり、黒字経営のところは直売所以外の販売ルートを確保していることが多かったことだ。TerroirCAMPはJA直売所にとって商流拡大に繋がり、キャンプ場で食材が売れることで約160億円の経済効果をもたらす計算だ。

日本社会

コロナ禍で大きく変わった「お金の使い方」

2023年3月29日(水)11時10分
舞田敏彦(教育社会学者)
家計

ライフスタイルの変化にコロナ禍が拍車をかけた mapo/iStock.

<食費支出が増えてエンゲル係数が上がる一方、洋服への支出は急減している>

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日本社会

転職すべき「隠れた優良企業」を見つけるコツは? 実は国が公開していた

2023年3月27日(月)17時30分
佐野創太(企業顧問、「退職学」の研究家) *PRESIDENT Onlineからの転載
企業面接で自己アピールをする女性

*写真はイメージです aijiro - shutterstock


働きやすい優良企業に転職するには、どうすればいいのか。「退職学」の研究家の佐野創太さんは「優良企業は、大手企業と比べると地味なことも多く、求人サイトで見つけにくい。探し方のコツを知るだけで、ライバルを一歩も二歩もリードできる」という――。

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少子化対策

子どもをもつと収入が70%も激減 世界が反面教師にしている日本の「子育て罰」

2023年3月24日(金)13時30分
浜田敬子(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載
寝ている子供の横で悩んでいる女性

*写真はイメージです yamasan0708 - shutterstock


なぜ日本の少子化は止まらないのか。ジャーナリストの浜田敬子さんは「自民党を中心に、子育ては家庭が責任をもつものであるという家族主義的な考え方が根深い。そのため、子育て世代にとって本当に必要な支援とはならない的外れな対策ばかりになっている」という――。

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SDGs

一歩進んだ環境対策 宅配ピザの紙箱を削減するスイス発のニュービジネス

2023年3月22日(水)20時25分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)
リサイクル型のデリバリー容器に入ったピザ

200回以上の使用に耐えるというリサークル・ボックス・ピザの容器 SRF News

<フードデリバリーの利用増加とともに、使い捨ての包装容器を見直す動きも>

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