最新記事

ライフスタイル

「まず目の前の小さなごみを拾う」ゴミ屋敷清掃のプロに学ぶ、年末の大掃除

2022年12月23日(金)08時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

おせち料理への執念はさらに強い。夫の実家に行くと、おせち料理の各種パンフレットがテーブルに並べられている。だいたい9月ぐらいでその状態だ。おせちに関しても、自分ではどう注文していいかわからないから、私に「注文してくれ」と言いたいのだが、あまり早い時期に言うと叱責されるので、なかなか言い出せないでいる。今年は、私の機嫌がいいだろうと予想した10月の中旬あたりで、パンフレットを出してきた。

「お義父さん、まだ10月ですよ」と私は冷たく言った。

「なんで毎年こんなに早いんです? おせちに命がけな理由を教えてください」と言う私に、義父は「孫が食べている姿を見たいから」と言った。

意味がわからないが? そのうえ若干気持ちが悪いという感想しか出てこなかった。そんな私に夫は「あまりきついことを言わないでやってくれ」と言うが、私の状況のほうがもっときついと思う。なにせ、おせちに命をかけている90歳を相手にしているのだから。

とにかく、この20年以上、とても重い気持ちを抱えてクリスマスを迎え、年越ししてきた。すべて義父のせいだ。それも、車で30分程度の距離に暮らしているというのに、つい3年前まで、義理の両親は大晦日から正月にかけてわが家に宿泊しに来ていたのだ。ホテルか。旅館か。どういうことだ。

年末の行事をすべて放棄していいレベルにまで、私はすでに徳を積んでいる。だから今年のクリスマスも正月も、私は私が好きなものを注文して、好きな時間に、ジャージ姿で食べることにした。先日、カニを2キロ注文した。満足している。



 『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術
 村井理子[著]
 CCCメディアハウス[刊]


 (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円下落・豪ドル上昇、米関税や中銀政策

ワールド

トランプ氏「韓国は自国の国防費負担すべき」、米軍駐

ワールド

トランプ氏「中国は貿易協定で非常に公平」、習主席と

ワールド

トランプ氏、利下げ再要求 「パウエルFRB議長は直
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワールドの大統領人形が遂に「作り直し」に、比較写真にSNS爆笑
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事件の現場から浮かび上がる「2つの条件」
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 6
    トランプ、日本に25%の関税...交渉期限は8月1日まで…
  • 7
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 8
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 8
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 9
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中