「ジョン・レノン」を名乗った男 ――暗殺犯マーク・チャップマンの心に起きていたこと

Lennon’s Alter Ego

2025年12月26日(金)11時16分
トム・マシューズ(本誌記者)、パメラ・エイブラムソン(ホノルル)、ホリー・モリス(アトランタ)、フランク・マイヤー(シカゴ)

1955年、彼はエルビス・プレスリーとロックンロールの黎明期にテキサス州フォートワースで生まれた。父は空軍の下士官から石油会社の与信管理担当者に転身し、一家はジョージア州アトランタの郊外に落ち着いた。だが当時のチャップマンは、周りの子たちから「いじめられる側」だったとされる。

彼にはUFOもビートルズも大好きなギャリー・リムティという親友がいた。2人でギターを奏で、ビートルズのレコードを聴き、曲を弾いて何時間も過ごした。「マークはレノンの熱狂的なファンで、彼の機知と皮肉を気に入っていた」。リムティは本誌にそう語った。


チャップマンのビートルズ愛に、規律を重んじる両親は困惑した。彼は髪をビートルズ風のマッシュルームカットにし、どこへ行くにもカーキ色の軍用コートを着ていた。両親は息子の行動を抑制しようとしたが、失敗に終わった。

自室に閉じ込めても、チャップマンはドアを壊して家を飛び出した。14歳の時、彼は初めて家出をし、リムティの家に1週間も隠れ住んだ。

誰も気付かなった危険な衝動

15歳になると、チャップマンは突如、熱狂的なキリスト教信者に変身した。自分が集めたレコードを同級生に売ろうとし、二度と帰ってこないつもりだと告げて姿を消した。「2週間ほど行方が分からなかった」と言うのは友人のトミー・モリス。「戻ってきたときの彼は髪を切り、白いシャツに黒いネクタイ姿で聖書を抱えていた」

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