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「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーティストに全米が夢中──BAND-MAID/新しい学校のリーダーズ/YOASOBI/藤井風/XG

Band-Maid / Atarashii Gakko! / Yoasobi / Fujii Kaze / XG

2024年8月8日(木)15時43分
ロブ・シュワルツ(ライター、元ビルボード誌東京支局長)

ニューヨークでパフォーマンスするBAND-MAIDの小鳩ミクとSAIKI

5人組ガールズバンドBAND-MAIDの小鳩ミク(左)とSAIKI(ニューヨーク、23年2月) THEO WARGO/GETTY IMAGES

この新しいチャンスに、日本のインディーズ系アーティストと、既に音楽市場で実績のあるミュージシャンの両方が注目している。

今年7月3日には、日本最大のインディーズレーベルの1つであるポニーキャニオンがハリウッドで記者会見を開き、ロサンゼルスに本社を置くポニーキャニオンUSAの設立を発表した。なぜ今、新会社なのか。


「ここ数年、日本で音楽配信サービスが急速に普及し、世界の音楽市場においても非常に重要な役割を果たすようになった」と、ポニーキャニオンの吉村隆社長は言う。「配信サービスの普及により、日本の音楽が世界各国で認知されてきている。アメリカ市場での成功が実現する可能性も高まってきた」

アニメがヒットに貢献

アメリカでのアニメ人気も、アメリカ進出を目指す多くのアーティストを後押ししている。

音楽クリエーターとバイヤーをグローバルにつなげる「マーケットプレース」を提供するサーフ社のコンテンツディレクター、ジョナ・ヒガは「日本のバンドが成功する要因の1つは、日本文化に対する世界の消費者の関心にある。海外で人気を獲得した楽曲の多くは、アニメと結び付いている」と解説する。

新しい学校のリーダーズ、YOASOBI、BAND-MAIDといったアーティストは、いずれも人気アニメに楽曲を提供している。

全米ツアーを何度も成功させるBAND-MAID

ポニーキャニオン所属のBAND-MAIDは何年も前から、アメリカで確かな人気を築いている。

2013年に結成された女性5人組のハードロック・メタルバンドで、日本のメイド喫茶のウエートレスのような衣装を着用。全米ツアーを何度も成功させ、昨年はアメリカの主要ロックフェスティバルのポイントフェストとロラパルーザに出演した。

YouTube公式チャンネルの総再生回数は2億回を超えている。

今年4月にはメタル系バンドのインキュバスの伝説的ギタリスト、マイク・アインジガーとの共作「Bestie」をリリースした。米ロック界の大御所とのコラボは、アメリカでの認知度アップにつながる大きな一歩だ。

日本のビジュアルロックのレジェンドYOSHIKIが、新たに結成したザ・ラスト・ロックスターズを率いて昨年アメリカ公演を行った際、BAND-MAIDがオープニングアクトを務めたことも見逃せない。

激しいヘッドバンギング入りの荒っぽいスラッシュメタルから抑えたバラードまで、多彩なサウンドでアメリカの聴衆を魅了した。

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