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巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マスターズ・オブ・ザ・エアー』...今どき「ありがとう、アメリカの皆さん!」はない

Masters of the Air, in Red, White, and Blue

2024年3月18日(月)16時25分
レベッカ・オニオン

搭乗機が撃墜された3人は、ドイツにある捕虜収容所に収容される。そこでバックとバッキーと寝食を共にし、生き延びるために人種の壁を越えて協力し合うという流れだ。

つまりここでは、アメリカ的な創造性や心の柔軟さへの誇りが高らかにうたい上げられる。「善き戦争」への終わりなき、時代遅れの賛歌だ。

戦局が動き、バッキーはドイツ占領地域の捕虜収容所に掲げられたナチスの旗を星条旗に換え、旗ざおに頭を預けて感謝の気持ちを表す。

飢餓に苦しむオランダに上空から食料を投下するという最後の任務では、搭乗員たちはチューリップ畑に書かれた「どうもありがとう、アメリカの皆さん!」というメッセージを目にする。アメリカの正しさを示す最後の仕上げだ。

第2次大戦が終わった45年以降、アメリカと戦争の関わり方は大きく変わった。だがスピルバーグとハンクスの頭の中では、赤と白と青の星条旗の色こそ正義の象徴だという古くさい考え方がそのまま残っているようだ。

©2024 The Slate Group

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