最新記事

映画

日韓関係悪化のさなかアジアを代表する釜山国際映画祭開催 日本映画はどうなる?

2019年9月25日(水)19時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)


釜山国際映画祭はネット配信系映画にも門戸を開放する方針を明確にし、ネットフリックスが百年戦争を扱った史劇『ザ・キング ヘンリー5世』を招待上映する Netflix / YouTube

ヴェネツィアに続きネット配信系映画を支持

映画祭といえば、いまだ全世界の映画祭でイシューとなっている配信系映画を上映するか排除するかという問題を避けては通れないだろう。今年、釜山国際映画祭はネットフリックス制作の映画『ザ・キング ヘンリー5世』の招待上映を発表した。

映画祭委員長は記者会見で「ヴェネツィア国際映画祭と同じ主張だ。映画『ローマ』のように素晴らしい映画なら招待することができるという文脈で『ザ・キング』も招待をした。ビデオストリーミングプラットホームが活性化している状況で保守的な態度は未来に賢明に対処していない。ビデオストリーミングプラットホーム、あるいは芸術映画を製作・配給するプラットホームと協業を結んでアジア映画を映画祭期間段階から配給, 普及する方案を深刻に悩まなければならない」と語っている。

これで、釜山国際映画祭ははっきりと配信系映画賛成派の意思を表明したことになる。もともとインターネットダウンロードが盛んで、過去には映画館封切り日からすでにストリーミングも開始可能な作品も存在した韓国らしいといえば、韓国らしい判断だろう。

またここ数年、世界的に高まるフェミニズムの流れも相まって、映画祭の記者会見では「女性映画監督の作品は今年全体の27%。これを来年は35%まで引き上げたい」という発表もあった。近年フェミニズムの声が高まる韓国では、こういう部分でやはり進んでいるように感じる。映画業界は長い間男性社会が続いてきたが、今や女性のスタッフ・監督もたくさん活躍している。釜山国際映画祭は、今後もアジアを代表する映画祭としてアジアの女性映画人を引っ張っていく存在になってほしい。

釜山国際映画祭はこれまで、アジアに特化した映画祭というテーマをぶれずに続けてきた。そんな釜山国際映画祭の前では、日韓関係悪化などの問題は小さな出来事の一つなのだろう。アジア各国を見渡した時、今一番素晴らしいと思った監督に賞を与えるだけのこと。たとえ、その監督の国籍が日本であったとしてもだ。

良い作品を上映し、観客に届ける。映画と人とが出会える場を提供する。そのシンプルな信念さえ揺るがなければ、これからも釜山はアジアの中でその存在を確立していくだろう。今回のアジア各国の国旗の色を配色にした、力強い映画祭公式ポスターの旗を振りながら先頭に立ち、これからも先導していく存在でいてほしい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

レアアース調達、日米が先行 韓国・独は不足に直面 

ワールド

マクロスコープ:暫定予算不可避に、政府与党から漏れ

ビジネス

JPX、業績予想と配当予想を上方修正 1日平均の売

ワールド

米シェール企業、原油100ドルでも「増産せず」 高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 7
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 8
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中