最新記事
中国経済

中国消費回復に暗雲...冴えなかった大型商戦、成長目標達成も不透明に

2024年6月25日(火)19時38分

だが、販売期間が長期化して消費者の興味が薄れ、例えば字節跳動(バイトダンス)傘下の「抖音(ドウイン)」などライブコマースが提供する日常的な値引きに関心が移るようになると、こうしたピークは鋭さを失うと同氏は指摘する。

「今年見られるのは正規価格の小売りからの完全なシフトだ。より理性的な消費、慎重さ、価値を求める動きが見られる」と述べた。


 

中国の消費者は不動産不況や賃金の伸び悩み、若年失業率の高さなどを背景とした家計への懸念から支出に消極的で、政府が今年の目標に掲げる5%前後の経済成長達成を危うくしている。

618のようなイベントはかつてのように消費を刺激するどころか、誰もが必要なものをできるだけ安く買うことに集中している今年のような状況では、消費回復にマイナスに働く可能性もある。

中国南部・長沙市で販売業に従事する一児の母カン・リーさん(45)は必需品以外の買い物を控えるようになった1人だ。

カンさんは今年の618で生活必需品と子どもの服と靴、自身のスキンケア用品を買ったと話す。618のようなイベントの際にこれらの品を買いだめすることで、半年後の独身の日まで買わなくて済むという。

市場調査会社カンター・ワールドパネルの大中華圏担当マネジングディレクター、ジェーソン・ユー氏は、消費者が618セールで必要な物を購入したため、今後数カ月は小売業者にとって困難な時期になると指摘。「こうした買いだめ行動は今後の消費ポテンシャルの過度の前倒しだ。7月は非常に厳しくなるだろう」と語った。

ナティクシスのガルシアヘレロ氏は今年後半の小売売上高が1桁台前半の伸びにとどまり、中国の国内総生産(GDP)に占める消費の割合は縮小すると予測。その上で「中国は問題から脱却するため引き続き輸出が必要になるため、世界経済の不均衡是正には悪いニュースだ」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本のCEO
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月1日号(6月24日発売)は「世界が尊敬する日本のCEO」特集。不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者……その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国経済は高成長維持へ、消費主導モデルへの移行を支

ビジネス

テスラ、5月欧州販売は約28%減 5カ月連続マイナ

ワールド

イラン反体制派NCRI指導者、国民に体制打倒呼びか

ビジネス

豪5月CPIは+2.1%に鈍化、コア3年半ぶり低水
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 4
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 5
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 6
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 7
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 8
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 9
    「温暖化だけじゃない」 スイス・ブラッテン村を破壊し…
  • 10
    イスラエル・イラン紛争はロシアの影響力凋落の第一…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中