最新記事

サプライチェーン

貨物船不足で解体前の老朽船賃料まで高騰 世界的インフレ助長も

2022年6月26日(日)16時39分
中型貨物船シナジー・オークランド

新型コロナウイルス対策の厳しい規制措置に起因する世界貿易の混乱に新造貨物船不足が重なり、本来なら解体されるはずの老朽船の用船料(賃料)が記録的水準に達している。写真は中型貨物船シナジー・オークランド。ユーロシーズ提供(2022年 ロイター)

新型コロナウイルス対策の厳しい規制措置に起因する世界貿易の混乱に新造貨物船不足が重なり、本来なら解体されるはずの老朽船の用船料(賃料)が記録的水準に達している。海上輸送コストの高止まりは、この先何年も世界的なインフレを助長する恐れがある。

こうした老朽貨物船の引き合いの強さにつけ込む形で、船主側は3─4年の長期用船契約を相次いで確保している。建造中の新造船が数百隻単位で就役する時期まで、消費者が高騰する海上輸送費用のツケを背負わされる結果になるかも知れない。

例えばキプロス船籍の中型貨物船「シナジー・オークランド」(積載可能量は20フィートコンテナで4200個強)の場合、所有者のギリシャ企業ユーロシーズは2019年、当時で既に船齢が10年に達していた同船を1000万ドル(13億6000万円)で購入した。ところが世界の貿易活動が一挙に不安定化した昨年、この船はわずか100日間の契約で2100万ドルを稼ぎ出したのだ。この規模の船としては1日当たりの用船料は過去最高となった。

シナジー・オークランドはさらに短期契約で約1000万ドルを得た後、5月に6100万ドルで4年間の定期用船契約が結ばれた。つまり3年前のユーロシーズの購入価格の6倍以上のリターンだ。

ユーロシーズのパリアロス最高総務責任者はロイターに「市況が上向く中でほぼ完璧な運用ができた。コンテナ市場の歴史でこうした事例は今まで見たことがなかった」と語った。

海運調査会社クラークソンズ・リサーチによると、世界のコンテナ輸送量は18年に5.6%、19年に4%伸びた後、パンデミックが起きた20年も2.9%増加した。

しかしロックダウン(都市封鎖)期間中に消費財の需要が急拡大した上に、港湾で貨物処理が滞って想定より長く船舶が足止めされ、さらに新環境基準順守問題を巡る不透明感との兼ね合いなどから新造船の供給が鈍化した影響で、貨物船需給が引き締まり、用船料が高騰した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、ミネソタ州に捜査官「数百人」追加派遣 女性

ビジネス

米商務省、中国製ドローン規制案を撤回 トランプ氏訪

ビジネス

米政権が刑事訴追警告とパウエル氏、利下げ圧力強化の

ワールド

イラン抗議デモで死者500人超、トランプ氏「強力な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 10
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中