最新記事

自動車

17年トップ車種「プリウス」が絶対王者ではなくなった理由

2018年3月17日(土)13時07分
小林敦志(フリー編集記者)※東洋経済オンラインより転載

現行4代目プリウス(撮影:尾形文繁)

トヨタ自動車「プリウス」。エンジンとモーターを併用して走るハイブリッド車(HV)の代名詞的存在であり、トヨタの国内販売を支える基幹車種の1つだ。2015年末に登場した現行4代目はカタログ値ながら最高40km/L(ガソリン1リットル当たりの走行距離、JC08モード、以下同じ)という高い燃費性能と斬新な内外装デザイン、安全技術をはじめとする先進的な装備の数々などを備える。

昨年(2017年暦年)、プリウスの国内販売台数は約16万台と日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめている乗用車ブランド通称名別ランキング(軽自動車除く)で1位。2位の日産自動車「ノート」(約13.8万台)や3位のトヨタ「アクア」(約13.1万台)などを抑え、2年連続でトップに立った。月販平均台数は約1万3400台で、現行モデル発売時の月販目標台数1万2000台を上回っている。

4代目の販売は「いまいち振るわない」

ただ、前年比でみると35%減。新車効果が一巡したとはいえ、その落ち込み幅は小さくない。水準を見ると一時は年間30万台を超えた先代3代目の半分強に当たる。今年に入って1~2月は乗用車ブランド通称名別ランキング(軽自動車除く)で、日産「ノート」にトップの座を奪われ、2位に甘んじている。かつての隆盛を考えると、4代目の販売はいまいち勢いに欠け、絶対王者ではなくなったと言っても大げさではない。

toyokeizai180317-chart.png

現行4代目プリウスが正式発売となったのは2015年12月。筆者の調べでは同年9月から予約受注販売を開始しており、正式発売してから半年以上の間は大量のバックオーダーを抱えていたが、それ以降は解消されたようだ。3代目は2009年5月のデビューから20カ月もの間、乗用車ブランド通称名別ランキングの首位に立ち続けたが、4代目はその半分の期間となる当初10カ月しかトップを守れなかった。

一時は半年以上納車待ちにもなった4代目は現時点でほとんど即納状態のようで、年度末決算のセール中ともあって値引き額も大きめになってきている。

2017暦年の月販平均1万3400台について、トヨタ系販売店のセールスマンからは3代目の記憶もよぎるのか、「そんな勢いで売れているようには感じない」との声も聞かれる。真偽のほどは定かではないものの、「レンタカーやカーシェアリングなど向けのフリート販売や、登録済み未使用車だけでなく、ディーラー名義で初度登録を行い、代車などで短期間使用した走行距離の少ない中古車などが、トヨタ系の枠を超えた中古車専業店でも目立ってきている」と新車販売に詳しい事情通はささやく。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

石破首相が退陣表明、米関税で区切り 複数の後任候補

ワールド

石破首相が辞任表明、米大統領令「一つの区切り」 総

ワールド

インドは中国に奪われず、トランプ氏が発言修正

ワールド

26年G20サミット、トランプ氏の米ゴルフ場で開催
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 5
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 6
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 9
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 10
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 7
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中