最新記事

アマゾン

アマゾンが取引先に課している「冷酷な条件」の実態

2018年1月26日(金)17時30分
林部健二(鶴 代表取締役)※東洋経済オンラインより転載

「冷酷」とまで言われるアマゾンの徹底した合理的なやり方とは?(撮影:尾形文繁)

今やEC業界の王者の座に君臨するアマゾン。日用品もワンクリックで購入できるようになり、消費者の生活が便利になっていく一方、アマゾンは日本の小売業界を脅かす存在にもなっています。アマゾンと取引のある企業からは、「アマゾンに顧客を取られる」「アマゾンは冷酷な会社だ」といった声を聞くこともあります。

アマゾンは、なぜここまで強大な企業になり、「冷酷」とまで言われるようになったのでしょうか。そして、日本企業はアマゾンにどう対抗していくべきなのでしょうか。これらの答えを導き出すには、まずアマゾンの経営戦略を知る必要があります。

私はアマゾンジャパンで、2002年から2006年までSCM(サプライチェーン・マネジメント)のマネジャーとして、物流や倉庫オペレーションまでの管理をしており、多くの採用面接もしてきました。今回はアマゾンでの経験を踏まえて、アマゾンがEC王者であり続ける理由の1つを考えてみたいと思います。

何から何までKPIで管理

アマゾンの経営の特徴は、何と言ってもその「ロジカルさ」にあります。アマゾンでは、データや数値で物事を判断して、最良の策を遂行していくことを徹底しています。なかでも、アマゾンのKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)には、そのロジカルさが如実に表れています。

KPIは、業績を見るための重要な指標のことです。多くの企業がKPIを設定していると思いますが、実際にはそのほとんどがKPIを見るだけで終わってしまっているのではないでしょうか。一方アマゾンのKPIは非常に実効性があり、日々のオペレーションや経営判断に本当に活かされています。

アマゾンのKPIには、システムの稼働状況や、どのくらい正しく表示できていたか、ショッピングのセッション数がどのくらいあったか、注文数、CVR(Conversion Rate=サイトを訪れた人のうち購入に至った割合)、新規顧客の比率、価格、サードパーティー比率、コスト、不良資産率、在庫欠品率、配送ミスや不良品率、また、倉庫で1出荷にかかった時間や、どれだけ納期どおりに出荷できたのか、などが設定されています。

そして、カスタマーサービスでは、出荷に対してどのくらい問い合わせがあったのか、電話の問い合わせを一定の時間内に何%取れたか、メールの問い合わせに対して一定時間内にどれだけ返せたか、1回で簡潔に答えられたか、また、回答に関するアンケート結果をもとにした顧客満足度なども見ています。

各KPIの数字は非常に細かい単位で見られ、0.0X%というレベルで目標が立てられます。これらのKPIについて、社員はすべて同じフォーマットで資料を作り、年対比や目標対比、直近の推移などの数値を出していきます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:「オルバン長期政権後」に賭ける投資家、ハ

ワールド

中国がイランに防空ミサイル、供与を準備とCNN報道

ワールド

米とイランの交渉団がパキスタン入り、レバノン停戦な

ビジネス

経産省、ラピダスへの6315億円の追加支援決定 総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中