最新記事

人民元

IMF、人民元のSDR採用を決定

投資家は、中国が変動相場制に移行しない限り、人民元を国際通貨として使用することには引き続き慎重

2015年12月1日(火)08時55分

11月30日、IMFは理事会で、SDR構成通貨に中国人民元(写真)を加えることを承認した。安徽省の銀行で2011年4月撮影(2015年 ロイター)

 国際通貨基金(IMF)は30日開いた理事会で、特別引き出し権(SDR)構成通貨に中国人民元を採用することを承認した。35年ぶりの大掛かりな構成通貨の変更となる。人民元のSDR通貨バスケット比率は10.92%と、事前予想並みの水準となった。

 IMFが2010年に設定した直近の比率はドルが41.9%、ユーロは37.4%、英ポンドが11.3%、円が9.4%だった。

 人民元が採用されたことで、この比率はユーロが30.93%に低下、ポンドも8.09%、円も8.33%にそれぞれ低下した。ドルの比率は41.73%とほぼ同水準に保たれた。人民元が構成通貨に加わるのは来年10月以降。

 IMF関係者によると、全会一致での承認だった。IMF当局者によると、IMFは理事会投票結果を公表しない方針。

 IMFの評価基準を満たすため、中国は過去数カ月間、国内為替市場への外国人のアクセス改善など一連の改革を行ってきた。

 ラガルド専務理事は声明で、改革の継続に期待感を表明。「こうした取り組みの継続や深化に伴い、国際通貨・金融システムがより強固になり、中国・世界経済の成長や安定を下支えする」と述べた。

 中国人民銀行(中央銀行)はこの日、IMFの承認を歓迎する声明を発表。自国の経済発展や最近の改革についてお墨付きを得たとの認識を示し、「中国は、金融改革や開放促進の動きを加速させる」とした。

 アナリストは、中国が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になる、との見方を示している。

[ワシントン/トロント 30日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中