最新記事

金融政策

ラガルドIMF専務理事「2016年の世界経済成長、期待はずれに」

米利上げ政策や中国の消費主導型経済への移行は「不可欠で健全な変化」だが、不確実性を高め経済の脆弱性を拡大させていると指摘。

2015年12月31日(木)19時05分

12月30日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事(写真)は、独紙ハンデルスブラットに掲載された寄稿記事で、2016年の世界経済の成長は期待はずれなものになるとの見通しを示した。11日撮影(2015年 ロイター/Stefan Rousseau/Pool)

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、30日付の独紙ハンデルスブラットに掲載された寄稿記事で、2016年の世界経済の成長は期待はずれなものになるとの見通しを示した。

 専務理事は、米利上げ見通しと中国の経済減速は不確実性を高め、世界中で経済の脆弱(ぜいじゃく)性のリスクを拡大させていると指摘。

 また、世界貿易の伸びは大幅鈍化しており、原材料価格の下落が原材料取引に依存する国に問題をもたらしているとした。「金融セクターが依然としてぜい弱な国が多く、新興国市場では金融リスクが高まっている」とし、「これはすべて、2016年に世界経済の成長が期待はずれで不均衡なものになるということを意味している」との考えを示した。

 また、低水準の生産性、人口の高齢化、世界的な金融危機の影響が成長の足かせとなっており、中期的な見通しを悪化させたとした。

 専務理事は、米金融政策の正常化の始まりや中国の消費主導型経済への移行は「不可欠で健全な」変化だとした上で、可能な限り効果的かつ円滑に行われなければならないと指摘した。

 「米国とおそらく英国を除く先進国の大半は引き続き緩和的な金融政策が必要となるだろうが、これらのすべての国は政策決定で波及効果を包括的に考慮すべきだ」とした。

 このほか、米利上げとドル上昇が企業のデフォルト(債務不履行)につながる可能性があり、これを受けて銀行や国にも影響が及ぶことがあり得ると警告した。

 

[ベルリン 30日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中