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アップルをしのぐ注目株、アリババがついにIPOへ

2014年9月18日(木)15時15分
ティモシー・マグラス

市場も企業も伸び代あり

 アリババの価値はどれほど大きいのか。どの財務指標を用いても、結局のところ答えは同じ。アリババはひたすら巨大だ。

 時価総額は推定1550億ドル。この数字は、米テクノロジー最大手3社の時価総額(アップル6087億ドル、グーグル3922億ドル、マイクロソフト3847億ドル)に比べると少ないように思える。だがアマゾン(1530億ドル)とちょうど同じくらいで、しかもアリババは成長を続けている。

 昨年のアリババの総取引高は2480億ドル。アマゾンとeベイの取引高を足しても届かない。しかもアリババは売上高の80%を利益とし、今年4〜6月期の売上高25億ドルのうち20億ドルが利益となった。同じ時期にグーグルが160億ドルを売り上げ、利益は34億ドルだったことを考えれば、悪くない数字だ。

 その巨大さを本当に理解するには、中国の電子商取引の成長ぶりと、アリババがこの業界の覇者であることを理解しなくてはならない。中国のネットユーザーは6億3000万人以上。アメリカの人口の2倍だが、中国の人口の半分だからまだ伸び代がある。

 アリババの売上高は中国の電子商取引の80%を占めている。アマゾンとアップルの総売上高には届かなくても、市場の80%を握り、そこから80%の利益を得ているのだから、大変なことであるのは間違いない。

 先週はアップルが新製品を大々的に発表して、世界の注目を集めた。しかしこの先、目が離せないのはアリババのほうだ。

From GlobalPost.com特約

[2014年9月23日号掲載]

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