最新記事

欧州債務危機

信用不安スペインが賭ける大麻ビジネス

オランダ名物の大麻カフェで外国人への販売規制が強まるなか、あぶれた観光客を獲得する絶好のチャンス

2012年6月25日(月)12時39分
ポール・エイムズ

復活への切り札 大麻の煙で観光客を呼び込みたいスペイン Michael Kooren-Reuters

 オランダを訪れる外国人旅行者の楽しみの1つが失われつつある。今月から、「コーヒーショップ」と呼ばれる大麻カフェの多くで、外国人の大麻購入が禁じられた。現時点では南部の州に限定されているが、来年からは首都アムステルダムを含む国内すべてに適用される予定だ。

 そこに目を付けたのが、信用不安がくすぶるスペイン。同国は、オランダを当てにしてきた「大麻観光客」の受け皿になり得るだろう。カタルーニャ自治州のラスケラ村では先月、住民投票によって大麻の個人使用を推進する団体に栽培のための公用地を貸すことに決めた。実入りのいい大麻栽培によって財政赤字を減らせる上に雇用も創出できるという思惑だ。

大麻の個人所有は犯罪ではないが

 スペイン当局は現在、その計画の合法性について検討中だ。大麻に対して比較的寛容なスペインだが、オランダのコーヒーショップのような小売りは許可されていない。個人所有は犯罪ではないが、捕まれば大麻は押収されて罰金を科される。

 幸いにもEUは、薬物に関する政策はおおむね各国の方針に任せている。経済停滞に苦しむスペインにとって、オランダからあぶれた大麻観光客を獲得する絶好のチャンスかもしれない。

GlobalPost.com特約

[2012年5月23日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インタビュー:高市新首相、人事で安倍内閣を参考か=

ワールド

情報BOX:高市早苗内閣の顔ぶれ

ワールド

官房長官に木原稔氏、財務相に片山氏=新内閣人事

ワールド

高市内閣が発足へ、維新との連立政権 財務相に片山氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 6
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中