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アメリカ経済

失業給付と金持ち減税、究極の選択

期間延長の打ち切りで、失業給付金をもらえなくなる失業者がクリスマスまでには200万人になる

2010年12月3日(金)18時26分
アニー・ラウリー

腰折れ懸念も 感謝祭翌日のブラックフライデーは久々に販売好調だったけど Adam Hunger-Reuters

 今年のクリスマスは緊縮財政を祝おう、と米政府は決めたようだ。バラク・オバマ大統領は今週、軍人を除く連邦政府職員の給与の引き上げを2年間凍結することを提案。続いて超党派の財政改革委員会が、2020年までに4兆ドル規模の財政赤字削減を目指す最終案を発表した。

 そして12月1日からは、失業保険の給付期間延長ができなくなる。4日までに約80万人の失業者が給付リストから外れ、クリスマスまでにその数は200万人になる。

 給付延長に見合う保険料を払っていないのだから給付を止められて当然だ、と共和党議員は言う。彼らには彼らなりの理由があるが、それは経済的というより政治的なものだ。失業給付金の経済性は非常に単純だからだ――コストはかかるが、経済回復の助けになる。

 失業保険の給付延長に反対する共和党の主張で、筆頭に上げられているのが「財源がない」というもの。まずは財政赤字と予算支出の削減が第一だというのだ。

 ジョン・シャデグ下院議員(共和党)はさらに踏み込んでいる。ニュース専門テレビ局MSNBCのマーク・バーニクルが、失業給付は富裕層に対する減税と違って経済に「直接的な利益」をもたらすと言うと、シャデグは即座に否定した。「失業者が経営者のように人を雇用してくれるのかね? それは知らなかった。失業者は、出来るだけ金を使うまいとするだけじゃないか」

失業給付1ドルで1.61ドルの経済効果

 シャデグの言い分にうなずく経済学者のほとんどいない(まったくいないと言ってもいい)。ある失業者が1ドルを手にしたら、おそらくその人はその1ドルを全部使う。減税によって金持ちに1ドルを渡しても、それは貯蓄に回る確率が高い。

 ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディは、1ドルの失業給付金は1ドル61セントの経済活動を生む、と試算している。富裕層を含むあらゆるケースで、1ドルの減税は32セントしか生まない。

 よって、経済的観点からすれば失業給付を止めるのはいいことではない。それなりの額の給付金を長期間払い続ければ、一定のコストが生じるのは事実だ。政府の負担は大きいし、失業者が次の仕事を見つけるまでの期間も長くなりがちだ。しかし、雇用危機が景気回復の重荷になっている現状では利益がコストを上回る、と保守派を除くほとんどの経済学者が指摘している。

 給付停止は失業者にとって悲劇だ。これまで最長99週間だった給付期間が通常の26週間に戻れば、その間に新しい仕事を見つけるのはほとんど不可能になる。1500万人が失業中で、企業はようやく雇用を再開し始めたばかり、1つの仕事を4人以上の失業者が争うという状況なのだから。

 給付金そのものは特に気前に良いものでもない。プエルトリコの120ドルからハワイの420ドルまでばらつきがあるが、平均で週に300ドル。なんとか家族を食べさせていける程度で、多くの場合は貧困ライン以下の暮らしになる。

 このため、FRB(米連邦準備理事会)のベン・バーナンキ議長やその他の理事は雇用状況について懸念を表明し、経済回復が軌道に乗るまで景気刺激策を取るよう主張している。「これだけの失業率になると、非常に深刻な経済的、社会的影響が出てくるのは明らかだ」と、バーナンキはオハイオ州立大学で聴衆を前に語った。ホワイトハウスの経済チームも、失業給付の延長を強く支持している。

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