プレスリリース

GSアライアンスが、耐久性、耐水性が強く、導電性が低下しにくいイオン液体型帯電防止剤を開発

2022年11月16日(水)10時30分
GSアライアンス株式会社は、耐久性、耐水性が高く、長期間においても、導電性が低下しにくいイオン液体型帯電防止剤を開発しました。開発したイオン液体を各種の高分子、ポリマー、樹脂、プラスチック、ゴム材料などに添加して、帯電防止剤として、使用することができます。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/334948/LL_img_334948_1.jpg
耐久性、耐水性が強く、導電性が低下しにくいイオン液体型帯電防止剤

物質は、プラス、マイナスの電荷を持つ原子、分子から構成されており、普通の状態では、電気的に中性の状態に保たれています。この状態において、2つの物質が接触すると、片方の物質から電子が移動して、もう片方の物質に行きます。この現象により、特に接触面付近で、電荷の偏りが生じることになります。特に導電性をあまり有していない高分子、プラスチック、樹脂、ゴムなどの絶縁材料においては、この電荷の偏りが解消されず、2つの物質が離れた後に電荷の偏りが生じやすくなります。これが静電気の原因です。静電気は、発火の原因、静電状態の破壊、塗装印刷の不良の原因、ほこりの付着、それらの現象から生じる生産効率の低下など、様々な問題を引き起こします。
これらの問題に対して、帯電防止剤とは、添加、塗布された物質の導電性を向上させ、このような静電気の影響を軽減する材料のことです。

代表的な帯電防止剤としては、無機フィラー、導電性高分子、界面活性剤などがあります。ただ無機フィラーや導電性高分子の場合は、透明性が無くなったり、添加量が多くなり樹脂そのものの性質が変わってしまうような懸念があります。また、界面活性剤系の帯電防止剤の場合は、温度により導電性が変化したり、樹脂表面に添加された界面活性剤がブリードアウトしてきて、それが取れてしまうと、帯電防止効果が無くなるなどの懸念点があります。

一方でイオン液体型の帯電防止剤は、樹脂表面付近に、イオン液体の濃度の偏りをもって存在させ、電荷の偏りを軽減することで帯電防止機能を発現します。このようなメカニズムのため、温度依存性が少ないことも特徴です。また、もう1つの大きな特徴として、イオン液体は透明なので、無機フィラーや導電性高分子を用いた時と比較して、透明性を維持できることが挙げられます。しかしながら、このようなイオン液体型帯電防止剤でも、条件によっては、経過時間に伴う持続性に問題があり、添加された樹脂の表面にブリードアウトしてきて、それが拭き取られたりして無くなってしまうと、帯電防止効果が無くなってしまうという課題がありました。また、イオン液体型帯電防止剤は、弱い耐水性も問題視されています。

これらの課題に対して、GSアライアンスは、耐水性、持続性に優れており、ブリードアウトが起こりにくくなり、長期間において帯電性の低下も抑制できる、新規のホスホニウム系のイオン液体型帯電防止剤を開発しました。例えば、ウレタンアクリレート系のUV硬化樹脂に1~10wt%の量を添加した後に熱や紫外線により硬化させると、約10(9乗)~10(12乗)Ω/□の表面抵抗率を示しました。また、他のイオン液体型帯電防止剤と比較した場合、経時変化も少なく、さらに耐水試験後も導電性を維持することができました。

イオン液体なので、不燃性、不揮発性であり、高熱に対しても比較的安定なので、一般的な帯電防止剤では熱分解してしまうような、高温での加工が必要な、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エンジニアリングプラスチック、接着剤、粘着剤に対しても導電性を付与できます。透明性に優れているので、種々の光学用途、電子部品、ディスプレイ、半導体などの用途にも適しています。

今後は、開発したイオン液体型帯電防止剤を国内外に事業展開していく予定です。


*イオン液体
イオン液体とは新しい素材として注目されている素材です。最近のイオン液体の定義とはイオンのみで構成された100℃以下で液体の塩とされています。カチオンとアニオンの組み合わせで、無数の様々な物質、物性を作り出すことができるので、デザイナーソルベント、また水、有機溶剤に続く第三の液体とも言われています。広い温度範囲で液体であるので、高温及び低温領域での使用が可能であり、電気が流れる導電性液体なので、電気化学デバイス用電解液や、各種の帯電防止用途での分野で応用が進みつつあります。また熱的、化学的、電気化学的に安定なので、過酷な条件での使用が可能であり、蒸気圧が低く蒸発しにくいので真空下での使用も可能となります。また、難燃性材料なので非常に安全性が高いです。
このような特性から、化学合成の反応用溶媒、CO2吸収剤、潤滑剤としての検討が行われています。一方で、セルロースなどの難溶性物質も溶解するので、様々な用途が期待されています。

実際の化学物質としてはイミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが有機カチオンとして用いられ、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI)や1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(BMI)などは、代表的な、これらのカチオンを含むイオン液体です。一方で、臭化物、フッ化物、塩化物などがアニオンとして用いられ、代表的なものには、ヘキサフルオロホスフェート(PF6-)、テトラフルオロボレート(BF4-)、トリクレートトリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3-)、ビストリフルオロメトロスルホン酸イミド(CF3SO2)2N-などがあげられます。


■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役 森 良平博士(工学)
本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容 : カーボンニュートラル、脱炭素、SDGs課題に取り組む環境、
エネルギー分野の最先端技術の研究開発
(国連のスタートアップ企業支援プログラム
UNOPS GIC KOBEに2020年に採択)
URL : https://www.gsalliance.co.jp/


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プレスリリース提供元:@Press
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