韓国

統一教会は、韓国ではカルト宗教であり小財閥としても認知されている

2022年7月25日(月)17時10分
佐々木和義

文鮮明が亡くなった直後、教団所有と見られる資産が売りに出された。ソウル江南にあるセントラルシティの持ち株だ。セントラルシティはソウルと地方都市を結ぶ高速バスターミナルや新世界百貨店、JWマリオットホテル、ショッピングセンターのGOTO(ゴートゥー)モールなどからなる複合施設で、流動人口は1日70万人。ソウル駅やコエックスの40万人をはるかに上回る商業圏だ。

セントラルシティは1970年代にソウル市がバスターミナルの建設を推進し、2000年に大幅な改修が行われた直後、運営会社が破綻。愛敬グループを経て、2004年、マレーシア系の投資目的会社が取得したが、統一教の迂回投資と噂された。

文鮮明が亡くなった直後、マレーシア系投資会社の持分が売りに出され、新世界グループが1兆2500億ウォンで買い取った。ロッテグループが買収に名乗りを上げたと言われており、新世界グループで売り上げが最も大きい新世界百貨店江南店を守るため買い取ったとみられている。

信者が増えると信者ごと教会を売ってより大きい教会を買う

韓国には統一教のほかにも新型コロナウイルス感染症のクラスターとなった新天地など、カルト教団が少なくない。

教会に詳しい韓国人によると、若い牧師は親戚などからかき集めた資金で小さい教会を買い、説教が人気となって信者が増えると信者ごと教会を売ってより大きい教会を買うという。

そこでも信者を増やしてさらに大きい教会に買い替えていくが、規模が大きくなるほど、教会数が少なくなるうえ、売りに出ることもほとんどない。そこで、新興教団を新設するというのだ。

統一教は韓国の信者から集めた寄付金で日本に進出、政界との関係を築き、日本で霊感商法を行って集めた資金で米国にも進出した。

韓国プロテスタント教会は1979年、統一教はキリスト教団体ではないと宣言し、ローマ法王庁も1985年、全世界の司祭や信者に統一教主催行事への参加を禁止した。統一教は宗教を軸とする小財閥といって良いだろう。

今、あなたにオススメ

注目のキーワード

注目のキーワード
トランプ
投資

本誌紹介

特集:トランプvsイラン

本誌 最新号

特集:トランプvsイラン

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

2025年7月 8日号  7/ 1発売

MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

人気ランキング

  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 8
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 9
    自撮り動画を見て、体の一部に「不自然な変形」を発…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
もっと見る
ABJ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。