コラム

麻薬でも石油でもない...トランプがベネズエラを攻撃した「根本的な理由」と、世界秩序への影響

2026年01月22日(木)18時20分

「拡大主義的モンロー主義」に近い方針

それは昨年末に米政府が公表した新モンロー主義とも呼べる「国家安全保障戦略」との関係である。以前、本コラムでも解説したとおり、同戦略ではアメリカは西半球を絶対的な重要地域として認定し、権益を確保する一方、アジアや欧州など西半球以外の地域については基本的に関与しないという方針を明確にした。

南北アメリカ大陸においては帝国主義的に振る舞い、ヨーロッパやアジアに対しては無視するという、かつてセオドア・ルーズベルト大統領が提唱した拡大主義的モンロー主義に近い。

この新戦略に基づいて考えれば、南北アメリカ大陸でアメリカに従わない国は存在を許さないという解釈になり、反米政権であったベネズエラは真っ先に排除の対象になったと考えるのが自然である。


西半球においては力による現状変更を躊躇なく行い、それ以外の地域には関与しないということになると、理論上、中国やロシアのような国が他国を侵略してもアメリカは根源的に阻止しないとの推論が成り立つ。日本人はこうした政治思想に疎く、まだぴんときていない人も多いのだが、欧州ではこの新戦略に対して相当なまでの衝撃が広がっている。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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