コラム

ドイツ極右、移民200万人を北アフリカに強制移住させる計画が暴露される

2024年02月27日(火)19時20分

極右、QAnon、陰謀論者......わいてくる現状否定の反主流派

アメリカは世界にテロや陰謀論を輸出している。ヨーロッパにおける陰謀論の最大輸入国はドイツであり、多数のQAnon支持者がいる。クーデター騒動を起こしたReichsbürgerもQAnonの影響を受けている。

陰謀論や極右といった現状を否定し、暴力によって変更しようとする勢力は不満が鬱積した社会に多く生まれてくる。満たされた平和な国は世界で少なく、状態が悪い国ほど反主流派勢力が生まれやすい。また、満たされた平和な国であっても、満たされず見捨てられた層の人々が存在する。こうした人々は現状を否定し、暴力によって変更しようとする勢力に惹かれる。欧米の多くの国の反主流派はこうした人々によって支えられており、彼らを支持層とする極右政党やポピュリストが拡大する素地となっている。

 
 

現在の世界は、気候変動、資源・エネルギー不足、パンデミックおよびそれらが引き越す移民増加によって、主要国が強調して強力な対策を打たない限り、中長期にわたって悪化し、社会はより不安定にする。紛争の増加も予想され、これらの問題の悪化を加速する。根本的な原因が気候変動、資源・エネルギー不足、パンデミックという多国間の信頼関係に基づく協力がなければ解決できないものである以上、解決はかなり難しい。自動的に世界の状況は悪化してゆき、そのしわよせは見捨てられた国や人々にゆく。極右、陰謀論といった反主流派はつきることなくわいてきて、多数派を形成することはほぼ間違いない。

このように書くと、暗澹たる気持ちになる方がいるかもしれない。分断というとネガティブに聞こえるが、異なる世界観が確立され、混在する社会と言えば印象が変わる。世界各地で生まれてくる新しい世界観の中から次世代へのブレークスルーが生まれてくる可能性もあると考えることもできるかもしれない。

20240604issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月4日号(5月28日発売)は「イラン大統領墜落死の衝撃」特集。強硬派ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える グレン・カール(元CIA工作員)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)など著作多数。X(旧ツイッター)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期1.3%増に下方改定 22年第

ビジネス

EXCLUSIVE-米テスラ、中国での高度運転支援

ビジネス

FRBの現行政策、物価目標達成に「適切」=NY連銀

ビジネス

南ア中銀、金利据え置き 6会合連続 「インフレ期待
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

  • 2

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 3

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程でクラスター弾搭載可能なATACMS

  • 4

    地球の水不足が深刻化...今世紀末までに世界人口の66…

  • 5

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 6

    国立大学「学費3倍」値上げ議論の根本的な間違い...…

  • 7

    AI自体を製品にするな=サム・アルトマン氏からスタ…

  • 8

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 9

    EVと太陽電池に「過剰生産能力」はあるのか?

  • 10

    F-16はまだか?スウェーデン製グリペン戦闘機の引き…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story