アングル:米ICEが「出産観光」詐欺取り締まりへ 国籍取得目的の入国
写真は移民・税関捜査局(ICE)の捜査官。1月28日、米ミネソタ州パイングローブで撮影。REUTERS/Shannon Stapleton
Kristina Cooke Ted Hesson
[ワシントン 10日 ロイター] - 米政府は、米国内で生んだ子どもに米国籍を取得させる目的で、ビザ(査証)申請時に虚偽申告を行う妊婦を支援しているネットワークの摘発に乗り出す計画だ。トランプ大統領(共和党)は、自らが進める出生地主義見直しを正当化するため、この問題に焦点を当てている。
ロイターが確認した9日の内部メールによると、移民・税関捜査局(ICE)は全米の捜査官に対して「出産観光イニシアチブ」の摘発に全力を挙げるよう命じた。外国籍の妊婦が子どもの国籍獲得を目的に米国で出産する「出産観光」を助けるネットワークを根絶する作戦だ。
トランプ氏は2期目就任以来、合法・不法を問わず移民全般の積極的な取り締まりを開始。「出産観光」の脅威を引き合いに、出生地主義に基づき米国で生まれた子どもに自動的に国籍を与える慣行を制限することを目指している。
ホワイトハウスのケリー報道官は声明で「野放図な出産観光が納税者に多大なコストを強いており、国家安全保障を脅かしている」と訴え、大半の国は国内出生児に自動的に国籍を付与してはいないと主張した。
米国土安全保障省(DHS)は進行中の個別の捜査についてのコメントは控えるとしつつ、出産観光を支援するネットワークの存在を認識していると説明。報道官は「米国で出産すること自体は違法ではないが、DHSはこれらの活動に関連する連邦法違反の可能性を特定し、対処することに引き続き注力する」と述べた。
米国の法律には出産を目的とした入国を全面的に禁止する規定はない。だが、第1次トランプ政権下の2020年に施行された規則は、新生児の米国籍取得を主目的として一時的な観光・ビジネスビザを使用することを禁じた。出産観光のスキームに関与した者は、詐欺その他の関連犯罪で起訴される可能性がある。
<国籍制限の根拠に>
出産による子どもの国籍獲得を明確な目的として米国を訪れる外国人の数や、出産観光による納税者の負担額に関する公的な統計は存在しない。
移民抑制を支持するシンクタンク、移民研究センターは2020年の分析で、16年から17年の1年間に約2万―2万5千人の母親が出産観光で米国を訪れたと推定している。25年の米国内の総出生者数は360万人で、出産観光による出生者は全体のごく一部だと考えられる。
共和党は、1世紀以上にわたり憲法修正条項に基づいて付与されてきた米国市民権へのアクセスを制限する根拠として、出産観光をめぐる疑惑を強調してきた。
トランプ氏は2期目の就任初日に大統領令を発し、両親のどちらも米国民または法的永住権保持者でない場合、米国内で生まれた子どもの国籍を認めないよう各政府機関に指示した。これは1世紀以上にわたる出生地主義制度を急転換するものだ。
複数の連邦判事がこの大統領令を差し止め、事案は先週、最高裁判所での口頭弁論に持ち込まれた。トランプ政権を代表するサウアー訟務長官は、自動的な国籍付与が「出産観光産業の無秩序な拡大」を助長していると主張した。
ICEの国土安全保障捜査局(HSI)が主導する今回のイニシアチブは詐欺を摘発することが目的だが、どれほどの件数を摘発できるかは不明だ。
内部メールには「合法的な移民プロセスを悪用する詐欺、金融犯罪、および組織的な支援ネットワーク」の打破を目指すと記されている。





